4495 アイキューブドシステムズの業績について考察してみた

4495 アイキューブドシステムズの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2024.Q2 2023.12 728 196 26.92%
FY2024.Q3 2024.03 748 197 26.34%
FY2024.Q4 2024.06 776 162 20.88%
FY2025.Q1 2024.09 903 211 23.37%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2020.Q4 2020.06 443 48 10.84%
FY2021.Q1 2020.09 457 139 30.42%
FY2021.Q2 2020.12 479 118 24.63%
FY2021.Q3 2021.03 515 133 25.83%
FY2021.Q4 2021.06 578 179 30.97%
FY2022.Q1 2021.09 599 232 38.73%
FY2022.Q2 2021.12 606 221 36.47%
FY2022.Q3 2022.03 616 212 34.42%
FY2022.Q4 2022.06 633 161 25.43%
FY2023.Q1 2022.09 657 165 25.11%
FY2023.Q2 2022.12 657 147 22.37%
FY2023.Q3 2023.03 672 177 26.34%
FY2023.Q4 2023.06 679 129 19%
FY2024.Q1 2023.09 697 137 19.66%
FY2024.Q2 2023.12 728 196 26.92%
FY2024.Q3 2024.03 748 197 26.34%
FY2024.Q4 2024.06 776 162 20.88%
FY2025.Q1 2024.09 903 211 23.37%

沿革

2001年9月有限会社アイキューブドシステムズとして、福岡県で創業。2004年2月株式会社に組織変更、2010年11月 10年連続でトップシェアのMDMサービス(Mobile Device Management:モバイルデバイス管理)を開始。2020年7月東証マザーズ上場。スマートフォンやタブレット等のモバイル端末を導入する法人向けに、それらの端末上で必要となる基本機能や安全性を担保したアプリケーションをクラウドサービスとして提供。

株主構成

有価証券報告書によると2021年12月末時点の筆頭株主は代表取締役社長CEOの佐々木勉氏で保有比率は51.62%と過半数を保有する。第2位株主としてジャフコが8.50%が保有している(2021年6月3日付け大量保有報告書では10.22%)ほか、厚生労働省健康局参与で2018年まで同社に勤務した畑中洋亮氏が第3位株主として7.68%を保有する。また、エンジェル投資家の平強氏が第8位投資家として1.67%を保有する。外国人株式保有比率は10%未満。

取締役会

取締役は10名(社内7名、社外3名)、監査役は3名(社外3名、1名は常勤)、監査役会設置会社である。取締役情報システム戦略室長CIOの大淵一正氏は20歳で入社した株式会社システムライフで、社長の佐々木氏と同僚だったことから創業直後の2002年4月より同社へ入社。取締役CFOの有森正和氏は日興証券(現SMBC日興証券)や、ジャフコ、スカイマークの財務担当などを経て2018年より同社に参画。取締役CTOの市川仁氏はNTTコミュニケーションズやアップルジャパン、NTTデータなどの経歴を有し2011年3月より同社へ入社した。

代表取締役の経歴

代表取締役社長CEOの佐々木勉氏は1973年8月生まれ。1992年に長崎県立平戸高等学校を卒業し、福岡市内のコンピュータ専門学校へ進学。1996年に福岡市内のソフトウェア会社である株式会社システムライフへ入社。2000年に個人事業として創業し、同年9月に有限会社アイキューブドシステムズを設立。グローバルに通用するソフトウェアブランドを日本から創出したいという決意で創業。

報告セグメント

「ライセンス販売事業」の単一セグメント。売上高には受託開発や保守業務などが含まれるが、業務は終了済みで縮小傾向。また、他企業のコラボレーションを図るため、新たに投資事業を開始。売上高計上はまだないが、今後の動向が注目される。

2022年6月期第2四半期決算説明資料

事業モデル

iPadなどのタブレット端末やiPhone、Androidなどのスマートフォン、ノートPCなどのモバイル端末を従業員へ貸与する法人向けに、クラウドを介してそれら端末のマネジメントサービスを提供する。携帯電話販売会社などの販売代理店を中心に販売を展開し、OEM供給はしていない。サブスクリプション型(利用ライセンス数に応じたライセンス料)が収益源である
提供するサービスは2つに大別され、販売実績の8割以上を占める「CLOMO MDM」サービスは、各種モバイル端末の状態監視機能・利用ルールの適用機能・情報漏洩対策機能等の機能を、顧客の担当部署で一元管理し運用を可能にするサービス。「CLOMO SECURED APPs」サービスは、ブラウザ・メール・スケジュール・アドレス帳・ファイル共有のビジネスシーンに必要な5つのアプリケーションを安全性と利便性を両立させた使い勝手の良いアプリケーションとして提供するサービス。
2021年6月期の相手先別の販売実績と総販売実績に対する割合として、株式会社NTTドコモが36.3%、株式会社ティーガイア14.8%、株式会社ソラニワ12.2%、SB C&S株式会社が11.3%が開示されており、上位4社で75%を占める。同社の成長戦略において、これまでの大企業中心の顧客層を中小企業や自治体、医療法人などへ拡大していくことを目指している。

競合他社

法人向けのMDMサービス関連市場では、大手通信キャリアのほか、独立系の企業が複数存在し競争環境は厳しい。競合サービスとしては9433KDDI(2021年3月期売上高5兆3,126億円)の「KDDI Smart Mobile Safety Manager」、9434ソフトバンク(2021年3月期売上高5兆2,055億円)の「ビジネス・コンシェル デバイスマネジメント」、NTTドコモの「あんしんマネージャー」などがある。また、独立系では、3694オプティム(2021年3月期売上高75億円)の「Optimal Biz」などがある。同社によると自社ブランド出荷額ではシェア21.9%でトップシェア(出所:デロイトトーマツ ミック経済研究所「コラボレーション コンテンツ・モバイル管理パッケージソフトの市場展望」 2011~2019 年度、「ミックITリポート2021年12 月号」 2020 年度出荷金額実績および 2021年度出荷金額予測)。

2022年6月期第2四半期決算説明資料

連結の範囲

連結の対象となる親会社・子会社を持たない。

強み・弱み

MDMサービスおよびブラウザなどに関するアプリケーションを自社で開発し、MicrosoftやGoogleなどOS開発元からの高い評価と強固なコネクションを基盤として、ソフトウェアやハードウェアの進歩・更新に速やかに対応可能な点が強み。また、独立系のため、自由な営業戦略を展開できることも強み。また、24時間365日緊急サポートのほか、ユーザーミーティング・セミナーなどを開催し、ユーザーサポート体制を構築している。一方で、同社は従業員数が100人未満と、技術革新が著しく厳しい競争が展開されるMDM市場で競争優位性を今後も維持していけるかは懸念点である。

KPI

目標とする経営指標として同社は「導入法人数」「継続率」を挙げている。
①    導入法人数 3,688社 (2021年12月末時点。2021年6月比+297社)
②    継続率 96.1% (2021年12月末時点。2021年6月比+0.7%)
前期はコロナ禍におけるテレワーク環境が広く浸透したことが追い風となり、導入法人数は大幅な伸びとなったが、2022年6月期も堅調な伸びを継続している。継続率も90%を超える高い水準を維持しており、顧客からの満足度も高いことが窺える。

2022年6月期第2四半期決算説明資料

業績

2021年6月期の業績は、売上高2,029百万円(前年比+388百万円)、経常利益560百万円(同+158百万円)と増収増益である。2017年6月期まで純資産額はマイナスであったが、ここ数年の売上拡大に伴い、2018年6月期には債務超過繰越損失は解消した。2021年6月期の自己資本比率は59.4%に達しており、堅調に推移する業績に応じて、一株当たり10円の配当を実施した。今後は業績動向の進捗に加え、株主還元についても注目される。

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