4015 アララの業績について考察してみた

4015 アララの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

アララの事業概要

同社はキャッシュレスサービスやメッセージングサービス、データセキュリティサービスなどをBtoBtoCのSaas型販促ソリューションとして提供する企業。スーパーや飲食店などの小売事業者向けに提供する「ハウス電子マネー」が代表的なサービスである。

沿革

2006年に株式会社レピカとして設立され、サーバー管理型でギフトカードシステムとメール配信システムを提供。2010年にAR事業(Augmented Reality:拡張現実)を目的に完全子会社としてアララ株式会社を設立。2016年に同社へアララ株式会社を吸収合併し、商号をアララ株式会社へ変更した。2020年11月東京証券取引所マザーズ上場。

株主構成

20年8月期末の保有比率に上場時の新規株式発行や売出を考慮し、上場後の大量保有報告を加味すると、筆頭株主である代表取締役社長の岩井陽介 氏が約27.8%とその資産管理会社IWAI GROUP PTEで約4.1%と、併せて31.9%を保有、株式会社デンソーウェーブが約6.4%、Livio株式会社が約5.3%とみられる。大株主にはベンチャーキャピタルも数社あり、ドコモ・イノーベーションファンドや大和ベンチャー1号、EEIクリーンテックなどが合計で約11.4%を保有しているとみられる。電子マネー「BitCash」を運営するビットキャッシュ株式会社が約3.5%を保有している。

取締役会

同社の取締役は7名(社内3名、社外4名)。社外4名のうち3名は監査等委員。監査等委員会設置会社である。
社外取締役である水越宏明氏は株式会社デンソー出身者、現在は株式会社デンソーエスアイの取締役に就任中。

代表取締役の経歴

代表取締役社長である岩井陽介氏は1965年11月生まれ。関西学院大学を卒業後、1989年に株式会社リクルートコスモス(現コスモスイニシア)へ入社。1996年にインターネットサービスの株式会社パラダイスウェブを設立し、1998年には学生時代からの知人と株式会社サイバードを設立。その後もデジタルコンテンツの制作会社や美容サロンの運営会社など、数社にわたって役員として就任し、現在に至る。

報告セグメント

同社はITソリューションとして以下の4セグメントで事業を展開している。
・キャッシュレスサービス事業
・メッセージングサービス事業

・データセキュリティサービス事業
・その他の事業(ARサービス)
2020年8月期におけるセグメント毎の売上高構成比は、キャッシュレスサービス事業が40.7%、メッセージングサービス事業が44.0%、データセキュリティサービス事業が11.4%、その他の事業(ARサービス)が3.9%である。尚、セグメント利益はキャッシュレスサービス事業50百万円、メッセージングサービス事業144百万円と、同期の営業利益136百万円の源泉はメッセージングサービス事業に依存するところが大きい。

事業モデル

高成長事業であるキャッシュレスサービス事業では、ハウス電子マネーやポイント機能にメッセージングサービスを組み合わせ、効率的な販売促進を行える統合型販促ソリューション「point+plus」を提供しており、月額のサービス利用料と決済額に応じた手数料が主な収益源となっている。会社資料によると、導入社数は着実に増加しており、キャッシュレスの浸透に伴いエンドユーザー数も10,000千人を超えている。それにより、決済額は直近3年半でおよそ15倍に急成長している。

出典:アララ株式会社 2021年8月期第1四半期 決算説明資料

メッセージングサービス事業では、航空会社や金融機関の搭乗連絡や約定通知といった一時に大量配信の必要のある電子メールの配信・管理を実現するサービスをSaaS型・オンプレミス型で提供している。これらのサービスが増加しており、2021年8月期第1四半期末における3年以上継続取引社数は157社(前事業年度末は153社)となっている。2020年8月期末時点の直接取引先客数は206社であった。
尚、同社は代理店やサービス連携パートナーを中心にビジネス展開しており、キャッシュレスサービス事業では2020年8月期の非直販率は75%

競合他社

競合企業は多く、比較対象としては3960バリューデザイン(時価総額は約50億円)、2428ウェルネット(時価総額は約86億円)、3769GMOペイメントゲートウェイ(時価総額は約1兆560億円)などが挙げられる。
※2021年1月時点での時価総額

連結の範囲

同社に連結子会社はなし。

強み・弱み

同社の強みは、SaaS型のシステム提供により、顧客自らが電子マネーの決済事業者になることを実現していることである。顧客自らが電子マネーのチャージや支払い時のインセンティブを設定できるので、エンドユーザーの利用頻度に合わせて顧客自身が独自性のある販促を行える点が他の販促サービスに対する優位性となっている。
一方弱みは、クレジットカードから交通系ICカード、QR、ハウスカードなど複数の電子決済手段が乱立し決済手数料率の引き下げ競争が常態化している点である。決済手数料に依存しない新サービスの展開を進めているが、現在の開示数値からは収益性が高くはないと見られることは弱みである。

KPI

キャッシュレスサービス事業においては導入社数やエンドユーザー数、ハウス電子マネー決済額などが重要な指標となる。またメッセージングサービス事業においては1取引先あたりの平均月次売上高や解約企業の平均利用期間などを開示している。
提供するサービスの顧客満足度が売上に与える影響が大きいと想定される。

業績の進捗

2018年8月期の売上高は1,027百万円であったが、2020年8月期の売上高は1,201百万円。直近3年間の売上高は1桁後半の成長率にとどまったが、キャッシュレスサービス事業の着実な成長を背景に、2021年8月期の会社計画では売上高1,472百万円と、ここに来て大幅増収となる見込み。コロナ禍による主要顧客のスーパーマーケット全体の売上高減少から、2020年8月期第3四半期をピークに決済額は減少しているが、顧客数やエンドユーザー数などは順調に増加しており、新規顧客のエンドユーザーへの同社サービス浸透効果が既存顧客の決済額減少を上回るとみられる