9726 KNT-CTホールディングスの業績について考察してみた

9726 KNT-CTホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1941年10月、関西急行鉄道株式会社(現:9041近鉄グループホールディングス)の全額出資により、有限会社関急旅行社として設立された。当時の事業は関西急行鉄道株式会社の沿線案内および乗車券類の発売業務受託であった。1947年に旅行あっせん業務を開始し、1967年には宿泊予約システムを稼働開始。1972年よりパックツアーブランド「メイト」、「ホリデイ」を販売する。1975年7月、東証二部へ上場、総合旅行業として史上初の株式上場を果たす。1977年6月、東証一部へ変更。1980年に旅のダイレクトマーケティング事業をスタートする。2013年、クラブツーリズム株式会社と経営統合、商号をKNT-CTホールディングス株式会社に変更した。債務超過にて、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる事象等が存在。

株主構成

有価証券報告書によると、2021年3月末日時点の筆頭株主は9041近鉄グループホールディングスで53.56%を保有する。次いで日本マスタートラスト信託銀行の信託口が6.95%を保有。ほか保有割合2%以下で近鉄バス株式会社、株式会社近鉄百貨店など近鉄関連の企業や金融機関がならぶ。

取締役会

取締役は8名(社内6名、社外2名)、監査役は4名(社内1名は常勤、社外3名)、監査役会設置会社である。社内取締役6名は近畿日本鉄道株式会社(現:9041近鉄グループホールディングス)時代からの社員およびプロパー社員とみられる。4名が60代であり、ほか1名が50代、最高齢は9041近鉄グループホールディングスの代表取締役会長・CEOを兼任する小林哲也氏で78歳である。

代表取締役の経歴

代表取締役は3名。代表取締役社長の米田昭正氏は1960年2月生まれ。慶応大学を卒業後、近畿日本鉄道株式会社(現:9041近鉄グループホールディングス)に入社。駅の係員や車掌などを務めた後、近鉄バファローズの球団経営に携わる。その後は米国に17年間駐在し、グループ会社であるホテルの経営に従事してきた。2016年6月に9041近鉄グループホールディングスの取締役に就任。2019年より現職を務める。
次に代表取締役専務の小山佳延氏は1961年12月生まれ。東京観光専門学校を卒業後、同社に入社。2008年、子会社であるクラブツーリズム株式会社の取締役に就任。2013年より同社取締役を務め、2020年、現職に就任。
最後に代表取締役専務の三宅貞行氏は1959年9月生まれ。1962年に近畿日本鉄道株式会社(現:9041近鉄グループホールディングス)に入社し、2015年には経理部長に就任。その後、近鉄不動産株式会社において取締役経理本部長、近畿車輛株式会社で監査役を歴任する。2020年より現職を務める。

報告セグメント

「旅行業」の単一セグメントだが大きく4事業に分類される。4事業とはクラブツーリズム事業、個人旅行事業、法人旅行事業、団体旅行事業である。各事業において国内・海外旅行商品の企画販売を手がける。事業別の業績開示はない。

事業モデル

クラブツーリズム事業ではおもに中高年向けに旅行商品の企画販売を営む。新聞広告や会員情報誌「旅の友」の配布によるメディア販売ならびにWeb販売が中心。会員による「ファンコミュニティ」を構築し、同じ興味を持つ会員どうしが旅行を企画したり、みずから添乗員になったりとさまざまな活動が展開されている。旅行を通じて会員を組織化している点が特徴。個人旅行事業は国内・海外旅行商品の企画販売をおこなう。パンフレットを主媒体とするパックツアーブランド「メイト」「ホリデイ」の販売を2021年3月に終了し、Web販売に集中する。法人旅行事業においては首都圏エリアの企業や官公庁をおもな顧客とし、国内外のMICE(Meeting, Incentive, Convention, Event)需要に対する提案営業を手がける。最後に団体旅行事業では修学旅行をはじめとする教育旅行、自治体との協業で観光調査や地域イベントなど観光の視点からまちづくりに携わる地域交流事業を提供する。

同社HP TOP > KNT-CTホールディングスの地域交流事業 > 提供するサービス

競合他社

9603エイチ・アイ・エス、株式会社JTBなどが挙げられる。2020年の業界規模は1.3兆円程度。うち9603エイチ・アイ・エスが約30%、株式会社JTBは約29%のシェアを占め、2社で50%を超える。続いて、グループ企業のクラブツーリズム株式会社が約12%で3位、同社は約6.8%で4位となる。しかし昨今は実店舗を持たないオンラインの旅行会社OTA(Online Travel Agent)も無視できない存在となっている。具体的には「楽天トラベル」を運営する4755楽天や「じゃらん」を運営する6098リクルートホールディングスなど。

連結の範囲

同社グループは同社および連結子会社33社、持分法適用会社2社から構成される。連結子会社は海外9社、国内23社。国内の旅行会社が15社、海外の旅行会社が8社、その他関連事業を営む会社が10社である。

強み・弱み

長年にわたりノウハウを積み上げてきた教育旅行が強み。日本初の修学旅行専用の貸し切り列車を実現した実績がある。多くの取扱実績、ノウハウ、全国的な教育機関や法人への営業網を有する。一方でIT化の遅れが懸念される。システム開発とIT化に3年間で100億円を投資、2020年より個人旅行の実店舗を2/3閉鎖し、紙媒体メインだった「メイト」、「ホリデイ」ブランドの販売も2021年3月に終了。Web販売へのシフト、IT化を急ぐ。

KPI

同社は2020年3月期に経常損益が赤字転換、2021年3月期には債務超過に陥っている。したがって売上高、経常利益、純資産額はKPIとなりうる。すべて2022年度3月期第1四半期の数値を示す。
1. 売上高:16,035百万円(前年同期比4.8倍)
2. 経常損益:▲6,022百万円(前年同期▲9,405百万円)
3. 純資産額:23,926百万円(前年同期比2.8倍)

業績

過去5期分の経営状況をみると、売上高は2019年3月期まで3%増加した後、減少に転じる。2021年3月期は87,889百万円と前年度比▲77%、2017年3月期との比較では▲78%となった。経常利益も2018年3月期までで9.8%増加したが、2019年3月期に赤字転落。2021年3月期は16,727百万円の赤字で着地。また同年度の純資産額は9,654百万円の債務超過となり、上場廃止のリスクに瀕した。なお親会社の9041近鉄グループホールディングスや主要取引銀行から合計40,000百万円の資本支援を受け、2021年6月には債務超過を解消している。自己資本比率はおおむね20%前後で推移、2021年3月期については-15.4%と低迷。投資CFは恒常的にマイナス、営業CFは2019年3月期まではプラス推移だが、2020年3月期以降はマイナスである。

2021年3月期 決算説明会