9511 沖縄電力の業績について考察してみた

9511 沖縄電力の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q1 2022.06 48,452 -9,349 -19.3%
FY2023.Q2 2022.09 70,286 -13,169 -18.74%
FY2023.Q3 2022.12 55,799 -12,028 -21.56%
FY2023.Q4 2023.03 48,980 -13,860 -28.3%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 40,138 -3,601 -8.97%
FY2018.Q1 2017.06 43,177 564 1.31%
FY2018.Q2 2017.09 61,901 10,551 17.04%
FY2018.Q3 2017.12 47,851 2,945 6.15%
FY2018.Q4 2018.03 43,205 -4,727 -10.94%
FY2019.Q1 2018.06 48,183 -1,151 -2.39%
FY2019.Q2 2018.09 61,410 6,741 10.98%
FY2019.Q3 2018.12 49,365 1,786 3.62%
FY2019.Q4 2019.03 46,523 -1,933 -4.15%
FY2020.Q1 2019.06 47,741 -1,696 -3.55%
FY2020.Q2 2019.09 63,291 10,458 16.52%
FY2020.Q3 2019.12 49,942 4,513 9.04%
FY2020.Q4 2020.03 43,322 -2,949 -6.81%
FY2021.Q1 2020.06 44,752 -383 -0.86%
FY2021.Q2 2020.09 59,744 11,307 18.93%
FY2021.Q3 2020.12 43,396 1,751 4.03%
FY2021.Q4 2021.03 42,628 -56 -0.13%
FY2022.Q1 2021.06 36,610 -1,784 -4.87%
FY2022.Q2 2021.09 51,172 6,939 13.56%
FY2022.Q3 2021.12 44,308 -245 -0.55%
FY2022.Q4 2022.03 44,142 -2,100 -4.76%
FY2023.Q1 2022.06 48,452 -9,349 -19.3%
FY2023.Q2 2022.09 70,286 -13,169 -18.74%
FY2023.Q3 2022.12 55,799 -12,028 -21.56%
FY2023.Q4 2023.03 48,980 -13,860 -28.3%

沿革

1972年5月法令(沖縄振興開発特別措置法)にもとづき、琉球電力公社の発送電業務を引き継ぎ、特殊法人として沖縄電力株式会社設立。1988年10月特殊法人から民営企業となる。1992年東証二部および福証に上場。2002年3月東証一部に変更。沖縄県を地盤とする電力会社

株主構成

有価証券報告書によると2021年月3末時点の筆頭株主は、日本マスタートラスト信託銀行の信託口で保有割合7.80%。日本カストディ銀行の信託口7.16%、沖縄電力社員持株会5.40%、沖縄県知事が5.20%で続き、以降は保有割合5%未満で地元地銀の8397沖縄銀行、沖縄海邦銀行のほか、みずほ銀行、国内生保、信託銀行が並ぶ。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は12名(社内8名、社外4名)、監査役は5名 (社内2名、社外3名)、監査役会設置会社である。社内取締役は全員プロパー入社とみられる。

代表取締役の経歴

代表取締役は3名。代表取締役会長の大嶺満氏は1955年8月生まれ。青山学院大学卒業後、1980年4月同社入社。主に経理部門、企画部門を経験後、2011年6月代表取締役副社長就任。代表取締役社長を経て、2019年4月より現職を務める
代表取締役社長 社長執行役員の本永浩之氏は1963年9月生まれ。慶應義塾大学卒業後、1988年4月同社入社。企画部門や連結子会社代表取締役等を経て、2019年4月より現職を務める
代表取締役副社長 副社長執行役員の島袋清人氏は1964年2月生まれ。琉球大学大学院修了後、1990年4月同社入社。主に離島カンパニー部門にて要職を務めた後、2015年6月より現職を務める

報告セグメント

「電気事業」の単一セグメントだが、報告セグメントに含まれない電気通信工事や電力設備工事の施工および保守点検、電気機械設備の受託運転などの「その他」も子会社等が事業として営む。2022年3月期第1四半期売上高36、610百万円の9割超を電気事業が占める。営業利益は赤字。売上高、利益の計上は第2、第3四半期に偏重し黒字化する傾向がある。

事業モデル

沖縄本島と周辺37島に電力供給を行う。広大な海域に点在する島に電力供給すること、およびその規模の狭小性などから他電力各社に比べ高コスト構造となっている。また地理的要因や規模的要因から水力発電や原子力発電の開発が困難であり、石油・石炭・LNGなどの火力発電に特化した電力構成となっている。また沖縄の地域特性を鑑み、送配電部門の分社化は見送られている。

経営参考資料集(2021年5月)

小売の電灯・電力料が同社収益の柱となるが、送配電部門の収支も公表されており、2021年3月期は営業収益が688億円、営業利益が20億円だった。発電設備は石油2ヶ所、石炭2ヶ所、LNG1ヶ所、ガスタービン5ヶ所、内燃力13ヶ所、風力5ヶ所を持つ。
沖縄県はコロナ禍において観光・飲食関連産業を中心に厳しい状況が続き、販売電電力量も低迷している。しかしながら電力小売自由化による新電力の参入も進み、競争は確実に激化している。

競合他社

2016年4月以降電気小売業への参入が全面的に自由化され、他業界から多数の事業者が参入している。電力会社は地域毎に置かれ直接競合しないものの、エリアが近接する電力会社として9508九州電力(2021年3月期売上高2、131、799百万円)や、同社と同じく比較的規模が小さい電力会社として9505北陸電力(同639、445百万円)や9507四国電力(同719、231百万円)などが挙げられる。

連結の範囲

連結子会社12社、持分法適用関連会社1社で構成される。主な連結子会社として電力設備工事の施工および保守点検を行う株式会社沖電工が挙げられる。

強み・弱み

電力自由化は進むものの、送電事業に関しては規制下に置かれ、沖縄県では同社の独占が維持されていることが強み。人口動態にも比較的恵まれ、今後も一定以上の需要が確保できると考えられる。一方で火力発電に特化した電力構成であることから原油などの燃料費変動リスクを負う他、台風が多く昨今の気候変動に伴う災害の増発などにより発送電設備が損傷するリスクなどを追う。また他地域の電力会社に比べ多くの離島を抱えることから、設備投資負担が大きいと考えられる

KPI

販売電力量、発受電電力量のほか、火力発電に特化しているため燃料費にかかる計数がKPIになると考えられる。
①販売電力量(2022年3月期第1四半期1、670百万kWh、前年同期比+4.9%)
②発受電電力量(2022年3月期第1四半期1、857百万kWh、前年同期比+2.8%)
③為替レート、原油価格、石炭価格
④沖縄県人口動態

経営参考資料集(2021年5月)

業績

2019年3月期をピークに売上高は低下。2021年3月期は燃料費調整制度の影響や販売電力量の減少により減収となった。一方で燃料費や他社購入電力料の減少などを受け、営業利益は2期連続増益となった。フリーCFは燃料費の増加などを受け最終利益が悪化した2019年3月期を除きプラスが続く。固定資産の取得額が減少したことなどから2021年3月期はプラス。自己資本比率は30%台後半を維持し、2021年3月期は37.8%。

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