6855 日本電子材料の業績について考察してみた

6855 日本電子材料の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2024.Q3 2023.12 4,007 3 0.07%
FY2024.Q4 2024.03 5,453 847 15.53%
FY2025.Q1 2024.06 4,992 1,180 23.64%
FY2025.Q2 2024.09 4,849 870 17.94%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 3,888 124 3.19%
FY2018.Q1 2017.06 3,083 -74 -2.4%
FY2018.Q2 2017.09 3,411 9 0.26%
FY2018.Q3 2017.12 4,103 432 10.53%
FY2018.Q4 2018.03 3,808 147 3.86%
FY2019.Q1 2018.06 3,418 492 14.39%
FY2019.Q2 2018.09 4,037 192 4.76%
FY2019.Q3 2018.12 3,387 373 11.01%
FY2019.Q4 2019.03 3,574 -52 -1.45%
FY2020.Q1 2019.06 3,191 121 3.79%
FY2020.Q2 2019.09 3,628 340 9.37%
FY2020.Q3 2019.12 4,429 375 8.47%
FY2020.Q4 2020.03 4,421 176 3.98%
FY2021.Q1 2020.06 4,188 804 19.2%
FY2021.Q2 2020.09 4,002 415 10.37%
FY2021.Q3 2020.12 5,057 696 13.76%
FY2021.Q4 2021.03 5,274 748 14.18%
FY2022.Q1 2021.06 4,789 1,142 23.85%
FY2022.Q2 2021.09 6,437 1,869 29.04%
FY2022.Q3 2021.12 6,159 1,183 19.21%
FY2022.Q4 2022.03 6,214 759 12.21%
FY2023.Q1 2022.06 4,292 507 11.81%
FY2023.Q2 2022.09 5,270 733 13.91%
FY2023.Q3 2022.12 5,809 1,146 19.73%
FY2023.Q4 2023.03 5,410 819 15.14%
FY2024.Q1 2023.06 4,137 258 6.24%
FY2024.Q2 2023.09 3,864 -238 -6.16%
FY2024.Q3 2023.12 4,007 3 0.07%
FY2024.Q4 2024.03 5,453 847 15.53%
FY2025.Q1 2024.06 4,992 1,180 23.64%
FY2025.Q2 2024.09 4,849 870 17.94%

沿革

1960年4月にブラウン管用の電子管部品などを製造販売する目的で兵庫県尼崎市に設立。1970年4月には米国のルッカー&コールス社と技術提携し、現在の主力である半導体検査用部品(ブローブカード)の製造販売を開始。熊本で工場を建設、米国・香港など海外に拠点を拡充させるなか、1998年8月には日本証券業協会に株式を店頭登録。2005年2月には東証第二部に上場、2006年3月には東証第一部へ指定替え。現在はブローブカードの製造販売が主力事業

株主構成

有価証券報告書によると、2021年3月末時点の筆頭株主は、創業家の資産管理会社である有限会社大久保興産で9.89%を保有する。また、現代表取締役社長である大久保和正氏が第3位株主として4.41%を保有する。そのほか、日本カストディ銀行が第2位株主として6.13%を保有するほか、日本マスタートラスト信託銀行(第4位、3.82%)、取引銀行である三菱UFJ銀行(第5位、2.73%)や個人が中心で、機関投資家とみられる上位株主は少ない。なお、外国人保有比率は10%未満

取締役会

取締役は7名(社内3名、社外4名)で構成され、うち3名(社内1名、社外2名)は監査等委員であり、監査等委員会制度を採用。専務取締役の足立安孝氏は社内出身であるが、社内取締役・監査等委員の林原克尚氏のほか、社外取締役のうち2名は主要取引先である三菱電機出身である

代表取締役の経歴

代表取締役社長・社長執行役員(営業統括担当)の大久保和正氏は1955年3月生まれ。サンノゼ州立大学を卒業後、1983年に東京エレクトロンに入社した。2年間の勤務後、1985年4月に日本電子材料に入社し、1985年5月に取締役に就任後、2003年9月にジェムヨーロッパ社代表取締役会長、2004年4月にジェムアメリカ社代表取締役会長をはじめとして、主要海外子会社の要職を歴任、2008年4月に代表取締役副社長を経て、2017年に代表取締役社長・社長執行役員に就任した

報告セグメント

「半導体検査用部品関連事業」・「電子管部品関連事業」の2つから構成される。2022年3月期第1四半期の売上高4,789百万円に占める構成比は、半導体検査用部品関連事業が99.1%、電子管部品関連事業が0.9%であった。競争力を有する半導体検査用部品関連事業が圧倒的な構成比を占めている。

事業モデル

半導体製造工程の前工程でICやLSIの良否を判定する「ウエハテスト」で使用される半導体検査用部品のプローブカード(探針付き基板)を製造販売する。消耗品のため、半導体の製造量(検査量)に比例して、需要が見込める。

同社HP >Home >製品・技術情報 >半導体検査用部品

グローバルに顧客ニーズを把握し、デバイス別に営業戦略を展開する方針で、日本、アジア、アメリカ、ヨーロッパの四極体制を敷いている。半導体の回路設計と一体化してプローブカードを迅速に設計、開発するため、国内、米国、台湾等の海外にも販売・生産拠点を有す。
10%を超える販売先として、三星電子株式会社(2020年3月期まで)、フラッシュフォワード合同会社、キオクシア株式会社などが挙げられる。
中長期的に、5G、AI、IoTなどの普及にけん引され、同社では半導体市場は堅調な成長を見込む。半導体市場全体の成長と歩調を合わせ、同社の中心的な事業であるプローブカードについても、半導体の技術革新や需要の増加に伴い、良好な事業環境が継続すると予想している。半導体回路の微細化・高速化、MEMS技術を用いたプローブの性能向上や基盤開発、組立技術や加工技術の開発、などを推進するだけでなく、半導体メーカーの再編による寡占化への対応も見据えて、2019年に兵庫県三田市に工場を新設済み

競合他社

半導体検査装置関連では、製品や工程別に多くの企業が競い合うが、半導体検査用部品ブローブカードで競合するのは、6871日本マイクロニクス(2020年12月期売上高40,130百万円)が直接の競合先。プローブカードのほか、半導体試験装置(テスタ)のほか、各種測定器も手掛けており、半導体設計・製造に対するトータルソリューションが提供する。そのほか、9880イノテック(2021年3月期売上高31,161百万円)もプローブカードを手掛けているほか、6594日本電産(2021年3月期売上高1,618,064百万円)の子会社である日本電産リードもプローブカードを取り扱っている。

連結の範囲

2021年3月末時点において、同社には9社の連結子会社がある。子会社のほとんどが地域別に設立されており、アメリカ(1社)・ヨーロッパ(1社)・中国(3社)・台湾(1社)などに配置されている。

強み・弱み

1970年に日本で初めて製造販売をはじめ、現在でも世界で屈指のプレーヤーとなっているブローブカードの製品力が強み。また、足もとでは半導体の供給不足など良好な市場環境にあるほか、中長期的にも、5G・IoTなどより一層進化していくIT技術をインフラ面で支える半導体製造の必要な構成要素の一つを担うため、事業環境が追い風にある点は強み。
一方、ブローブカードに偏重した事業リスクを抱えている点が弱み。大きく市況そのものが変動することがあるほか、販売価格の引き下げ要請などへの対応もあり、価格変動リスクと業績影響が大きい。また、半導体産業の再編が大きく進んだ結果、特定顧客 への収益依存度も高まっており、以前よりもビジネス上のリスクが高まっている。

KPI

安定的な収益力を表す指標として、連結経常利益率と株主資本利益率に対して目標値を同社は設定している。中長期的な経営戦略の1つとして「海外販売の強化」も掲げている。現在のビジネスの中心は日本であるが、アジア地域も全体の売上高に占める割合は高まっている。世界の半導体産業で分業化が進む中、グローバルな需要取込み状況は地域別の売上構成比で注視が必要となろう。
「連結経常利益率」 13.9% (2021年3月時点、目標値:10%以上)
「株主資本利益率」 14.7% (2021年3月時点、目標値:10%以上)
「海外販売比率」 37% (2021年6月時点)

2022年3月期 第1四半期決算説明資料

業績

短期的に伸び悩む期もあるが、中長期的にみれば売上高は右肩上がりで成長し、直近の底だった2017年3月期12,489百万円から、2021年3月期18,521百万円まで増収を継続。経常利益も増収に伴い増益で推移。営業CFは期末が週末と重なり、債権回収が期ズレした2018年3月期を除きプラス、投資CFは有価証券売却の膨らんだ2017年3月期を除きマイナスで工場新設などの大型設備投資のあった期はマイナス額が大きくなる傾向にあるため、FCFは期によって変動する。2022年3月期第1四半期の自己資本比率は65.6%であった。

2022年3月期 第1四半期決算説明資料

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