6464 ツバキ・ナカシマの業績について考察してみた

6464 ツバキ・ナカシマの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q1 2023.03 19,702 1,509 7.66%
FY2023.Q2 2023.06 19,863 387 1.95%
FY2023.Q3 2023.09 19,624 880 4.48%
FY2023.Q4 2023.12 21,148 -1,923 -9.09%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q1 2017.03 10,065 1,705 16.94%
FY2017.Q2 2017.06 10,588 1,755 16.58%
FY2017.Q3 2017.09 14,338 668 4.66%
FY2017.Q4 2017.12 18,253 2,131 11.67%
FY2018.Q1 2018.03 19,490 2,772 14.22%
FY2018.Q2 2018.06 19,411 2,622 13.51%
FY2018.Q3 2018.09 18,301 2,423 13.24%
FY2018.Q4 2018.12 17,630 2,125 12.05%
FY2019.Q1 2019.03 18,183 2,393 13.16%
FY2019.Q2 2019.06 17,336 2,049 11.82%
FY2019.Q3 2019.09 14,971 3,303 22.06%
FY2019.Q4 2019.12 14,073 441 3.13%
FY2020.Q1 2020.03 14,226 991 6.97%
FY2020.Q2 2020.06 9,792 335 3.42%
FY2020.Q3 2020.09 12,725 795 6.25%
FY2020.Q4 2020.12 15,281 1,490 9.75%
FY2021.Q1 2021.03 16,892 1,792 10.61%
FY2021.Q2 2021.06 17,846 1,833 10.27%
FY2021.Q3 2021.09 16,461 1,754 10.66%
FY2021.Q4 2021.12 16,727 437 2.61%
FY2022.Q1 2022.03 18,627 1,525 8.19%
FY2022.Q2 2022.06 19,631 -173 -0.88%
FY2022.Q3 2022.09 20,151 1,310 6.5%
FY2022.Q4 2022.12 20,627 -11,727 -56.85%
FY2023.Q1 2023.03 19,702 1,509 7.66%
FY2023.Q2 2023.06 19,863 387 1.95%
FY2023.Q3 2023.09 19,624 880 4.48%
FY2023.Q4 2023.12 21,148 -1,923 -9.09%

沿革

1934年1月、奈良県にて東洋鋼球製作所創業、鋼球の生産・販売を開始。1936年6月に合名会社東洋鋼球製作所設立、1939年1月には東洋鋼球製造株式会社へ改組。1954年8月に椿本鋼球製造株式会社へ、1968年6月には株式会社椿本精工へ商号変更。1961年12月に東証二部上場、1988年3月には同一部へ市場変更。1989年3月に株式会社中島製作所と資本及び業務の提携、1996年4月には合併し現商号の株式会社ツバキ・ナカシマとなる。2007年5月、野村プリンシパル・ファイナンス株式会社を中核安定株主とするMEBOにより、TNNインベストメント株式会社(形式上の存続会社)に子会社化され、東証上場廃止。同年8月に合併するとともに、新会社の商号を株式会社ツバキ・ナカシマとする。2011年3月に主要株主がカーライル・グループへ異動し、2015年12月に東証一部へ再上場、現在は同プライム。ベアリング用の精密ボール、精密ローラー等の製造・販売が主力事業。

株主構成

四半期報告書によると、2022年6月末時点の筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行株式会社信託口で15.31%保有。次いで、株式会社日本カストディ銀行信託口が6.14%保有。以下は5%未満の保有率で、国外の金融機関などが続く。2022年3月25日付のコーポレート・ガバナンスに関する報告書によると、外国人株式保有比率は30%以上

取締役会

取締役は7名(社内3名、社外4名)、うち3名は監査委員(全員社外)、監査委員会設置会社である。代表権を持たない社内取締役は、日産自動車株式会社、ワーナーブラザーズジャパン合同会社などを経て2019年3月に入社した、執行役副社長CFOの館尚嗣氏。社外取締役には公認会計士、証券会社、M&Aコンサル、精密機器メーカーの幹部が就任。

代表取締役の経歴

代表取締役は2名。取締役兼代表執行役社長CEOの廣田浩治氏は1951年10月生まれ。一橋大学卒業後、1976年4月に日産自動車株式会社入社。株式会社ファルテック、株式会社ヴァレオジャパンに勤務した後、2014年11月に入社。取締役兼代表執行役副社長、取締役兼代表執行役社長COOを経て、2020年1月より現職
取締役兼代表執行役CGOの郷坪智史氏は1954年4月生まれ。1980年4月に日産自動車株式会社入社。コナミホールディングス株式会社、日本電産株式会社などに勤務後、2016年10月に入社。代表執行役COO、取締役兼代表執行役COOなどを経て、2022年1月より現職

報告セグメント

「プレシジョン・コンポーネントビジネス」、「リニアビジネス」、「その他」の3セグメントで構成される。2021年12月期の外部顧客への売上収益67,926百万円の構成比は、プレシジョン・コンポーネントビジネス92.5%、リニアビジネス7.5%、その他0.01%未満であった。また同期のセグメント利益は、プレシジョン・コンポーネントビジネス88.3%、リニアビジネス11.4%、その他0.3%となった。売上収益、セグメント利益の両面で、プレシジョン・コンポーネントビジネスが主力。売上収益の国別構成比は、日本国内25.4%、米国18.5%、中国18.3%、イタリア12.0%、オランダ7.4%、ポーランド6.4%、スロバキア3.9%、英国1.2%、その他6.9%と、欧州各国の総計が3割を超えるなど海外市場が3/4を占める。なお、売上収益の10%以上を占める主要顧客は、スウェーデンのベアリングメーカーAB SKFで21.7%

事業モデル

主力のプレシジョン・コンポーネントビジネスは、自動車、航空機、船舶等のエンジンや駆動部の軸受に使用される、ボールベアリングの主要部品「精密ボール」の製造・販売を事業とする。精密ボールのシェアは世界トップであり、2万種類を超える高品質な精密ボールを扱う。精密ボールはボールベアリングの他、油圧ポンプ、モーター、ボールペンのペン先など幅広い用途を持つ。世界12ヶ国に20ヶ所の製造工場を設け、グローバルな販売網を展開する。
リニアビジネスでは、工作機械、半導体製造装置、産業用ロボット等に使用されるボールねじ、大型・中型送風機の製造・販売を行う。日本初の一般産業用ボールねじを手掛けたパイオニアである。また送風機製造は100年近い歴史を持ち、1.6万種類以上に渡るオーダーメイド製品を取り揃える。
その他事業は、主に不動産の賃貸等を行う。

公式ウェブサイト内「会社情報」>「長期経営ビジョン」

競合他社

大手ベアリングメーカーの6471日本精工(株)(売上高865,166百万円)、6472NTN(株)(売上高642,023百万円)は、ベアリング製造の一環として精密ボール及びボールねじ等の製造も行う点で競合し得る。ボールねじ等の精密金型の製造・販売を事業とする7726黒田精工(株)(売上高18,042百万円)も競合の可能性あり。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社22社で構成される。連結子会社のうち、同社仕入製品の購入先及び同社製品の販売先であるTN ITALY, S.P.Aは、売上収益の連結売上収益に占める割合が10%を超える(14.1%)。

強み・弱み

ニッチ分野であるベアリング用精密ボールに特化し、世界シェア3割超のトップシェアを誇る。海外にも多数の製造拠点を持ち、あらゆる地域への高品質精密ボールの即納体制を整備している点も強み。一方、EVは相対的に使用するベアリングが少ないため、将来的にEVの比率が高まった場合には市場縮小が懸念される。グローバルな生産網は地政学的リスクを伴う。

KPI

生産実績、商品仕入実績、受注実績などが主要KPIと見られる。

有価証券報告書-第16期 p.19より抜粋

業績

2013年12月期~2018年12月期の5年間で売上収益を2.5倍の約75十億円へ伸ばしたものの、2019年12月期以降は52十億円~68十億円の範囲で推移。営業利益も、直近9期では2018年12月期の約10十億円がピーク。2021年12月期は、売上収益67,926百万円(前期比+30.6%)、営業利益5,816百万円(同+61.1%)、税引前利益5,008百万円(同+94.7%)と、新型コロナウイルス感染拡大の影響が大であった前期から急回復。2022年12月期第3四半期は、売上収益が58,409百万円(前年同期比+14.1%)と順調に伸びたものの、欧州のローラー事業集約費用により営業利益2,662百万円(同▲50.5%)、税引前利益2,974百万円(同▲38.5%)と減益。営業CFは恒常的にプラス、投資CFは概ねマイナスで推移。2022年12月期第3四半期の親会社所有者帰属持分比率は36.4%。

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