6464 ツバキ・ナカシマの業績について考察してみた

6464 ツバキ・ナカシマの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1936年6月に東洋鋼球製作所を創業し、鋼球の生産・販売を開始。1936年6月に合名会社東洋鋼球製作所を設立。1939年1月に東洋鋼球製造株式会社に改組。1954年8月に椿本鋼球製造株式会社に商号変更。1961年12月に東証二部に上場。1968年6月に株式会社椿本精工に商号変更。1988年3月に東証一部に上場。1989年に株式会社中島製作所と資本及び業務の提携をし、その後合併にいたり、1996年4月に株式会社ツバキ・ナカシマに商号変更。2007年5月に野村プリンシパル・ファイナンス株式会社を中核安定株主とするMEBOによりTNNインベストメント株式会社(形式上の存続会社)に子会社化され、東証上場廃止。同年8月に合併。2011年3月に主要株主がカーライル・グループへ異動した後、2015年12月に東証一部に上場。本社は大阪府。ベアリング用の精密ボールや精密ローラーの製造・販売が主力

株主構成

2020年12月期有価証券報告書によると2020年12月末時点の大株主は、筆頭株主が日本マスタートラスト信託銀行株式会社の信託口で8.7%、次いで株式会社日本カストディ銀行が信託口で5.7%、HSBCFサービシズ500HKMPF10PCTが2.5%、BNYメロントリーティーDTT15が2.5%、JPモルガン・チェース・バンクが2.0%、バンク・オブ・ニューヨークが1.7%等、国内外の銀行や信託銀行等の金融機関が続く。外国人株式保有比率は30%以上

取締役会

取締役は7名(社内3名、社外4名)、うち3名は監査委員 (全員社外)、監査委員会設置会社である。取締役兼執行役副社長CFOの小原シェキール氏は海外企業数社を経て、2014年6月に同社に入社。2018年3月に現職に就任した。社外取締役兼監査委員長の河野研氏は公認会計士資格を持ち、同社の他に3社の取締役を兼任する。その他は、JFEスチール株式会社マツダ株式会社日産自動車株式会社等の様々な経歴を持つ社外取締役が揃う。

代表取締役の経歴

取締役兼代表執行役社長CEOの廣田浩治氏は1951年10月生まれ。一橋大学経済学部を卒業後、1976年4月に日産自動車株式会社に入社。その後株式会社ファルテックや株式会社ヴァレオジャパンを経て、2014年11月に同社へ入社。2018年3月に取締役兼代表執行役副社長、2019年3月に取締役兼代表執行役社長COOを経て、2020年1月に現職に就任した。
取締役兼代表執行役COOの郷坪智史氏は1954年4月生まれ。東京大学法学部を卒業後、1980年4月に日産自動車株式会社に入社。その後コナミホールディングス株式会社日本電産株式会社等を経て、2016年10月に同社へ入社。2020年1月に代表執行役COOを経て、同年3月に現職に就任した。

報告セグメント

「プレシジョン・コンポーネントビジネス」、「リニアビジネス」、「その他」の3セグメントに大別される。2021年12月期第1四半期の売上収益は16,892百万円の内、プレシジョン。コンポーネントビジネスが15,814百万円で93.6%、リニアビジネスが1,078百万円で6.4%、その他がほぼゼロを占める。営業利益は1,792百万円で、売上同様の構成比である。

事業モデル

主力のプレシジョン・コンポーネントビジネスでは、自動車や航空機・船舶等のエンジン部分や駆動部分に使われるボールベアリングの部品である、精密ボールを製造・販売する。精密ボールのシェアは世界トップであり、2万種類を超える高品質な精密ボールを扱う。精密ボールはボールベアリング以外にも、油圧ポンプやモーター、ボールペンにも使われ、幅広い用途がある。世界12か国で20か所の製造工場を設け、北米や中国向けを中心にグローバルに販売網を展開する。
リニアビジネスでは、工作機械や半導体製造装置、産業用ロボット等に使用されるボールねじや大型・中型送風機の製造・販売を行う。日本で初めて一般産業用にボールねじを手掛けたパイオニアである。また送風機製造は100年近い歴史を持ち、1.6万種類以上に渡るオーダーメイド製品を取り揃える。
その他事業では、不動産賃貸等を行っていたが、2019年12月期に賃貸不動産を売却している。
海外売上収益比率は75.7%であり、地域別売上収益は米国が20.8%、中国が18.4%、欧州諸国が31.0%、その他地域が5.5%である。(2020年12月期)
主要販売先はベアリング生産の最大手ABSKF(スウェーデン企業)であり、2020年12月期の売上収益は連結売上収益の20.5%を占める

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競合他社

ベアリング製造で国内首位の6471日本精工株式会社(2021年3月期売上高747,559百万円)、国内大手ベアリングメーカーの6472NTN株式会社(同562,847百万円)はベアリング製造に伴い、自社内(自社グループ含む)で鋼球やボールねじの製造も行う。このほか、ボールねじ等の精密金型の製造・販売を行う7726黒田精工株式会社(同13,289百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社を22社持つ 。21社がプレシジョン・コンポーネントビジネスを担い、台湾に拠点もつ1社がリニアビジネスを担う。中国と米国、イタリアにそれぞれ拠点を持つ3社の連結子会社の売上収益が、それぞれ連結売上収益の10%以上を占める。

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強み・弱み

強みとしてニッチ分野での高いマーケットシェアが挙げられる。同社では精密ボールの製造装置を自社で開発し、世界各国の製造工場に配置することで、世界中どこでも高品質の精密ボールの供給を可能とする。同社の精密ボールの世界シェアは3割を超え、世界首位である。従来は鋼球が主流であったが、より軽量で耐熱性に富んだセラミック球を自社で開発。自動車のEV化で軽量な頑丈な精密ボールの需要は拡大傾向である。鋼球に比べてセラミック球は高価になりやすいが、材料を独自に配合することでセラミック球の製造コスト削減を実現した。中長期的にはEV化によりベアリング点数は減少するといわれており、自動車産業界での数量減少に対して、用途拡大する領域で事業基盤を構築し対処していけるかはリスクとして残る。また、グローバルな生産網による即納体制が強みとなる一方で地政学リスクや為替変動リスクを抱える。

KPI

KPIには①セラミックボール、②海外顧客、③アジア市場における売上収益推移が挙げられる。このほか、世界的な自動車生産台数の動向も参考となる。
①セラミックボール:5,251百万円(2020年12月期)
②海外顧客:15,337百万円(同)
③アジア市場:11,569百万円(同)

2020年12月期 本決算説明資料

業績

売上収益は2016年12月期から2018年12月期までの3期で約2.0倍に増収した。2019年12月期は米中貿易摩擦や一部地域における地政学リスクにより、自動車販売台数や企業の設備投資が減退し、前期比13.7%の減収。2020年12月期も新型コロナ流行に伴う自動車販売台数や工作機械受注の減退により、前期比19.4%の減収で、2期連続減収となった。税引前利益は2016年12月期から2018年12月期までの3期で約1.4倍に増益。直近2期は連続で現役しており2018年12月期比で▲70.8%の減益となった。営業CFはプラスで推移。投資CFは2019年12月期を除いてマイナス。財務CFは2017年12月期を除いて、マイナスを推移する。自己資本比率は2020年12月期で29.6%。前期の30.2%から僅かに悪化した