3674 オークファンの業績について考察してみた

3674 オークファンの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2024.Q1 2023.12 1,116 45 4.03%
FY2024.Q2 2024.03 1,341 181 13.5%
FY2024.Q3 2024.06 1,169 60 5.13%
FY2024.Q4 2024.09 1,214 70 5.77%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q2 2017.03 899 33 3.67%
FY2017.Q3 2017.06 989 68 6.88%
FY2017.Q4 2017.09 849 24 2.83%
FY2018.Q1 2017.12 973 -20 -2.06%
FY2018.Q2 2018.03 1,521 71 4.67%
FY2018.Q3 2018.06 1,485 92 6.2%
FY2018.Q4 2018.09 1,884 267 14.17%
FY2019.Q1 2018.12 1,654 274 16.57%
FY2019.Q2 2019.03 1,707 366 21.44%
FY2019.Q3 2019.06 1,301 6 0.46%
FY2019.Q4 2019.09 1,974 33 1.67%
FY2020.Q1 2019.12 1,573 62 3.94%
FY2020.Q2 2020.03 1,410 19 1.35%
FY2020.Q3 2020.06 2,102 535 25.45%
FY2020.Q4 2020.09 2,789 204 7.31%
FY2021.Q1 2020.12 2,963 1,224 41.31%
FY2021.Q2 2021.03 1,684 -433 -25.71%
FY2021.Q3 2021.06 1,767 -103 -5.83%
FY2021.Q4 2021.09 1,930 -105 -5.44%
FY2022.Q1 2021.12 1,682 69 4.1%
FY2022.Q2 2022.03 1,270 -13 -1.02%
FY2022.Q3 2022.06 1,586 -42 -2.65%
FY2022.Q4 2022.09 1,718 308 17.93%
FY2023.Q1 2022.12 1,179 4 0.34%
FY2023.Q2 2023.03 1,486 217 14.6%
FY2023.Q3 2023.06 1,383 137 9.91%
FY2023.Q4 2023.09 1,097 -54 -4.92%
FY2024.Q1 2023.12 1,116 45 4.03%
FY2024.Q2 2024.03 1,341 181 13.5%
FY2024.Q3 2024.06 1,169 60 5.13%
FY2024.Q4 2024.09 1,214 70 5.77%

沿革

2000年9月、代表取締役社長の武永修一氏が個人事業としてオークション売買事業を開始。2001年4月、オークション統計ページの運営を開始。2004年4月、前身である株式会社デファクトスタンダードを設立。2007年6月、デファクトスタンダードからメディア事業を新設分割し、インターネットメディア「オークファン」の運営を目的として東京都に株式会社オークファンを設立。純広告サービスおよびネット広告サービスを開始する。2013年4月、東証マザーズへ上場。現在は東証グロース。上場後は株式会社NETSEA(DeNAよりマーケットプレイス事業を承継)など合計4社を傘下に取得し、業績を拡大。2020年8月にはイーベイ・ジャパン株式会社と業務提携をおこなう。なお、株式会社デファクトスタンダードは2016年8月に東証マザーズに上場し、その後東証一部に市場変更を果たしている。(2020年1月、TOBにより上場廃止)

株主構成

有価証券報告書によると2022年3月末時点の筆頭株主は、創業者で代表取締役社長の武永修一氏で保有比率は41.2%。ついで武永氏の資産管理会社であるS173株式会社が8.9%と続く。以下は保有比率5%未満で銀行や証券会社などが並ぶ。外国人株式保有比率は10%未満。

取締役会

取締役は4名(社内2名、社外2名)、監査役は3名(全員社外、1名常勤) 、監査役会設置会社である。社内取締役の1人である海老根智仁氏は1999年9月に株式会社オプト(現:2389デジタルホールディングス)へ入社し、代表取締役社長CEOや取締役会長まで務める。その後3664モブキャストホールディングス取締役のほか数社で取締役を歴任し、2018年12月にオークファンの取締役へ就任した。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の武永修一氏は1978年5月生まれ。京都大学在学中にネットオークション事業をスタートさせる。その後2004年4月、株式会社デファクトスタンダードを設立。2007年6月に同社を設立し、代表取締役社長に就任。起業のきっかけは武永氏自身のネットオークションでの経験だ。リサイクルショップで4万円と査定されたノートPCがネットオークションでは15万円で売却できたことを機に、オークションビジネスを展開していく。

報告セグメント

「在庫価値ソリューション事業」「商品流通プラットフォーム事業」「インキュベーション事業」の3報告セグメントに大別される。2022年9月期第2四半期累計の売上高2,952百万円の構成比は、在庫価値ソリューション事業36.4%、商品流通プラットフォーム事業56.6%、インキュベーション事業7.0%である。

会社資料よりPERAGARU_BLOG作成

事業モデル

在庫価値ソリューション事業では、創業来の売買データとAI技術により商品の時価を可視化し、企業在庫の価格と販路を最適化する予測モデルを構築している。おもなサービスはネットショッピング・オークションの相場、統計価格比較サイト『aucfan.com』となり、有料課金収入がメインの収益源である。2021年9月末時点で700億件以上の商品情報や価格情報などのデータを蓄積し、『aucfan.com』の無料会員は約96万人、有料会員は約4万人にいたる。そのほかEC販売支援サービス『タテンポガイド』等、複数のサービスを運営。
商品流通プラットフォーム事業はBtoBの卸プラットフォーム『NETSEA』の運営を中心に、廃棄ロス問題の解決へ向けた取り組みを事業とする。『NETSEA』では大手メーカーや卸と中小規模の小売店や卸をマッチングさせ、新たな販路を提供する。また滞留在庫・返品・型落ち品などの流動化支援を行うクローズドなオークションサイト『NETSEAオークション』も運営。主たる収益源は有料課金収入、流通手数料や商品販売収入である。2022年9月期より、上記2事業を注力事業に指定している。
インキュベーション事業は中長期的に競合優位性を構築・維持するための知見とネットワークを得ることを目的に、国内外のベンチャー企業等へ事業投資活動やコンサルティング業務を行う。投資先としてAI(人工知能)、データ、フィンテック、シェアリングエコノミー等のテクノロジー領域を挙げている。

2022年9月期(第16期) 第2四半期決算 補足説明資料

同社のターゲット市場となる国内BtoB卸売市場の規模は、2021年の経済産業省調べによると300兆円程度と推定され、海外ではユニコーン企業が誕生するなど新たな潮流を観測する。また同社試算によると国内の廃棄ロスは22兆円程度、EC化率の増加にともない返品市場も2.2兆円のポテンシャルがあると推測され、今後も市場は拡大する見込みである。

2022年9月期(第16期) 第2四半期決算 補足説明資料

競合他社

各オークションサイトでの出品状況などを、同社と同じ規模で比較できるサイトを運営する企業は見当たらない。BtoCだけでなくBtoBの卸モールも展開し、総合的に廃棄ロス問題の解決に取り組む企業もほかに見当たらない

連結の範囲

株式会社SynaBiz、株式会社オークファンインキュベート、オークファンインキュベートファンド1号投資事業有限責任組合、株式会社オークファンパートナーズの4社が連結子会社に該当する。株式会社SynaBizはBtoBの卸売・仕入プラットフォーム「NETSEA」の運営、アセットリクイテーション事業を営む。

強み・弱み

世界各国に商品を流通させるネットワーク、700億件を超える商品売買データを有する点は強み。AIを用いて、商品相場情報と販路を提供できるのは2次流通の市場における豊富な実績と優位性によるものである。インキュベーション事業の事業としての安定化は課題

KPI

同社は注力事業のGMV(流通額)・売上総利益・営業利益を重要指標に掲げているため、これらの数値はKPIとなりうる。
①注力事業のGMV(流通額):2022年9月期第2四半期累計5,392百万円(前年同期比+20%)
②注力事業の売上総利益:2022年9月期第2四半期累計1,013百万円(前年同期比+2%)
③注力事業の営業利益:2022年9月期第2四半期累計▲34百万円(前年同期比▲146百万円)

業績

2017年9月期から2021年9月期までの5期で、売上高は2.3倍、経常利益は2.0倍に成長。売上高は5期を通じて右肩上がり。経常利益も2020年9月期までは安定的に成長していたが、2021年9月期は減益となった。GMV拡大のための先行投資が原因である。営業CFは営業投資有価証券への支出によりマイナスとなった2019年9月期を除きプラスで推移。投資CFは恒常的にマイナスである。自己資本比率は2期連続で60%台を維持し、財務面でも大きな懸念はない。

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