6058 ベクトルの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1993年3月セールスプロモーション事業を目的として設立。6月には株式会社ベクトルに商号変更。2000年4月にはPR事業を主体とした体制に移行。2005年12月には現在のPR TIMESとなる株式会社キジネタコムを設立。2012年3月東証マザーズ上場、2014年11月東証一部へ変更。30を超える子会社を抱え、グループでPR業務を軸に広告業務までの代理店サービスを提供。PR業界のNo.1。子会社及び投資事業の投資先は複数上場している。
株式会社PR TIMESや株式会社サイバーセキュリティクラウドなどである。

株主構成

有価証券報告書によると2020年8月末時点の大株主は、創業者であり取締役会長の
西江肇司氏で保有比率は36.74%
。次いで、株式会社日本カストディ銀行が10.33%、日本マスタートラスト信託銀行株式会社が5.70%と続く。外国人株式保有比率は10%以上20%未満である。

取締役会

取締役は9名(社内4名、社外5名)、監査役は3名(社内1名、社外2名)、監査役会設置会社である。社内取締役の吉柳(古賀)さおり氏は同社一筋で働いてきており、現在子会社である株式会社プラチナムの代表取締役を務めている。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の長谷川創氏は1971年4月生まれ。関西学院大学在学中の1993年に創業メンバーの一人として参画。1995年に同大学を卒業後、4月に郵政省(現日本郵政株式会社)に入省。1997年4月株式会社ベクトル入社。2001年5月より取締役就任。その後子会社の取締役や代表取締役を歴任した後、2020年5月より株式会社ベクトルの代表取締役社長に就任
2020年5月から、創業社長であった西江肇司氏は代表権を持たない取締役会長へ就任している。

報告セグメント

「PR・広告事業」、「プレスリリース配信事業」、「ビデオリリース配信事業」、「ダイレクトマーケティング事業」、「メディア事業」、「HR事業」、「ファンド事業」の7報告セグメントに大別され、2021年2月期の調整前の売上高37,854百万円の構成比はPR・広告事業51.8%、プレスリリース配信事業7.6%、ビデオリリース配信事業4.9%、ダイレクトマーケティング事業22.6%、メディア事業0.2%、HR事業9.7%、ファンド事業0.9%である。メディア事業、HR事業、ファンド事業は合算で1,007百万円の赤字、黒字部門は6割程度をPR・広告事業が稼ぐ

事業モデル

企業が商品リリースを行う際、その商品を顧客に認知してもらうまでのアプローチを包括的にサポートするPR代理店業務が基本の事業モデル。商品リリースに伴うニュースリリースの発行、商品PRイベントの運営、PR用動画の撮影、提携メディアへの展開による掲載と言ったPRに関わる行程を全てグループ内で遂行可能
PR・広告事業は主にコンサルティングを基本とし戦略PRサービスの提供及びタクシーの社内に設置するタブレットを活用したIoTサイネージサービスによる広告販売を提供。
プレスリリース配信事業は、子会社のPR TIMESが手掛け、配信サイト「PR TIMES」及び多数のサイトへのプレスリリースの配信。掲載を提供。利用企業数は43,000社を超える。
ビデオリリース配信事業は、子会社NewsTVが手掛け、企業のニュースを1分程度の動画で配信するビデオリリース・動画リリース配信サービスを提供。動画制作から配信サービスまでを行う。
ダイレクトマーケティング事業は、物品のオンライン販売を中核とし、子会社ビタブリッドジャパンなどで、健康美容関連商品の輸入販売などを行う。
メディア事業は子会社スマートメディアでオウンドメディア構築・運営サービスなどを提供。
HR事業は、子会社あしたのチームで企業の人事評価制度の導入や運用を支援する。人事関連クラウドサービスは導入企業集3500社でHRTechのクラウドサービス内で高いシェアを誇る。教育・評価・タレントマネジメントの支援をフルパッケージで提供する。
ファンド事業は、子会社100キャピタルで投資事業有限責任組合の形式で投資先の株式を保有する

2021年2月期 決算説明資料

競合他社

2180サニーサイドアップグループ、2436共同ピーアールなどが競合他社として挙げられる。しかし、ベクトル社はPR業界では断トツ1位の地位を築いており、売上高で2-5倍ほど上である

連結の範囲

連結子会社36社と関係会社5社でグループを構成(2020年2月時点)、同社はグループ全体の経営企画、財務、会計、人事、総務及び内部統制・監査を担う。主要な子会社として売上高に占める比率が10%を超えるのは、株式会社プラチナム、株式会社イニシャル、株式会社ビタブリッドジャパン、株式会社あしたのチームの4社である。香港、上海、インドネシア、タイ、ハワイ、韓国、マレーシアにも連結子会社を有し、アジア・ASEAN地域を中心に積極的な事業展開を図っているが、売上高等の開示はない。

2021年2月期 決算説明資料

強み・弱み

PRに関わるフローをグループ企業内で一気通貫して提供できる点が強みである。企業が新商品や販売促進したい商品に対しでベクトルのPRノウハウを使うことで、PRイベントの運営や、イベント時の動画撮影・編集、PR用動画の作成、インフルエンサーを活用したSNSマーケティング、提携メディアへの掲載によって、顧客認知度を高めるWebサービスをフルラインナップしていることは強みである。参入障壁が他業種と比べて比較的低い点は懸念される点である。

KPI

各子会社における下記のような数値はKPIとなり得る。上場子会社資料において開示のあるものもある。
PR受注件数
②プレスリリース数
③ビデオリリース数
④ダイレクトマーケティング数

業績

2017年2月期から2021年2月期までの5期間は、売上高は2.8倍と右肩上がりで推移してきたが、経常利益は変動があり、2021年2月期は2,797百万円と前期の3,322百万円から減益であった。M&Aによるのれん償却費の増減や、投資事業における投資有価証券の損益が営業利益及び経常利益に影響するため変動があり、足元ではコロナの影響を受けている。営業CFは恒常的にプラスで推移し、投資CFは積極的な投資と投資有価証券の売却の双方が生じ、期によってプラスマイナスは異なる。自己資本比率は40%前後で推移。