5304 SECカーボンの業績について考察してみた

5304 SECカーボンの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1934年10月に昭和電極株式会社として、アーク炉用電極の製造を目的に設立。兵庫県本社。1946年には人造黒鉛電極の製造を開始。1963年7月に大証店頭銘柄に登録。1984年7月に株式会社エスイーシーに商号変更。1984年11月大証二部へ上場。1986年12月に協和カーボン株式会社と合併し、アルミニウム製錬用カソードブロック、特殊炭素製品の製造開始。2006年10月にSECカーボン株式会社に商号変更。2013年東証二部上場。国内大手の炭素専業メーカー。カソードブロックで世界シェア4割を有し、人造黒鉛電極等も製造販売する

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の筆頭株主は、黒鉛電極の販売先で議決権19.6%有する関連会社の大谷製鉄株式会社で19.5%を保有。次いで三菱商事株式会社9.6%、住友商事株式会社5.5%、その他には公益財団法人大谷教育文化振興財団が3.8%、代表取締役会長の大谷氏が2.9%、株式会社三菱UFJ銀行が2.6%など、取引先や金融機関が並ぶ。外国人株式保有比率は10%未満。

取締役会

取締役は3名(社内2名、社外1名)、監査役3名 (社内1名、社外2名)、監査役会設置会社である。社外取締役の大谷壽一氏は大谷製鉄株式会社の代表取締役社長であり、1994年6月に同社監査役、1997年6月に取締役、2003年6月に退任したのち、2007年6月に取締役に再度就任した。

代表取締役の経歴

代表取締役会長の大谷民明氏は1948年9月生まれ。1969年5同社へ入社後、1993年6月に取締役、1997年6月に常務取締役、1999年6月に専務取締役、2005年6月代表取締役社長を経て、2018年5に現職へ就任した。
代表取締役社長の中島耕氏は1964年3月生まれ。山口大学経済学部を卒業後、1986年4月同社へ入社後、2016年6月に取締役、2017年5月に常務取締役を経て、2018年5月に現職へ就任した。

報告セグメント

「炭素製品の製造・販売」を主な事業とする単一セグメント。「アルミニウム製錬用カソードブロック」、「人造黒鉛電極」、「特殊炭素製品」、「ファインパウダー及びその他炭素繊維」の4つの製品及びサービスに大別される。2020年3月期の売上高構成は、アルミニウム製錬用カソードブロックが13,228百万円で37.6%、人造黒鉛電極が16,504百万円で46.9%、特殊炭素製品が4,225百万円で12%、ファインパウダー及びその他炭素製品が1,178百万円で3.3%を占める。

事業モデル

国内大手の黒鉛電極メーカーとして、主に電気製鋼炉に使われる人造黒鉛電極や、アルミニウム製錬工場の電解炉で使われるカソードブロックを製造・販売する。
カソードブロックでは世界シェア4割を超え、世界でもトップクラスのメーカーとして名を連ねる。アルミニウム用カソードブロック全体の黒鉛化に世界で初めて成功し、電気伝導性、耐熱衝撃性などに優れた製品を開発。30年以上、世界各国のアルミニウム電解炉で使用されている。アルミニウムの持つ軽量さとリサイクルが容易な特徴から、世界的に建設分野や自動車産業での中長期的な需要が高まっており、耐摩耗性をより向上させた製品開発に着手中
人造黒鉛電極はニードルコークスを原料に製造され、連結子会社である東邦カーボン株式会社を通じて電炉鋼業界へ販売する。他にも黒鉛(カーボン)の持つ耐久性や電気伝導性を活かし、半導体や宇宙航空分野をはじめとする様々な産業向けに多品種の特殊炭素製品や、自動車用塗料や電池の原料となるファインパウダー(高純度黒鉛粉末)の製造・販売も行う。
生産設備は京都工場、岡山工場の2工場、岡山工場は特殊炭素製品の加工工場で京都工場が主要な生産を担うメイン工場。海外売上比率が60%を超え、地域別でみるとアジア・中近東が国内に続いて多く、35%に及ぶ。販売先は三菱商事株式会社と住友商事株式会社で、売上高の過半数を占める。

競合他社

タイヤ用カーボンブラックで国内首位の5301東海カーボン株式会社(直近決算期売上高201,542百万円)、黒鉛電極のパイオニア5302日本カーボン株式会社(同26,802百万円)、等方性黒鉛で世界首位の5310東洋炭素株式会社(同31,226百万円)などが競合として挙げられる。

連結の範囲

同社の連結子会社は、炭素製品の販売を行う東邦カーボン株式会社の1社である。他には非連結子会社2社、関連会社1社、その他関連会社1社を抱えており、グループを形成している。

強み・弱み

アルミニウム製錬用カソードブロックで世界シェア4割を誇ることが、同社の強みである。一方で、海外売上比率が6割を超えることが懸念点として挙げられる。景気動向によって電炉鋼業界の需要が減退した場合、業績に及ぼす影響がある。また為替変動による売上高への影響を、強く受けやすい点もリスクとして考えられる。

KPI

販売先の需給動向が同社業績に与える影響が大きいため、KPIとして下記のようなものもが考えられる。LMEアルミニウム価格は上昇すると、カソードブロック販売先のアルミニウム製練メーカーの更新需要や工場新増設の需要が高まる。鋼材市況の推移は、中国製鋼材の数量・価格の状況が与える影響が大きく、需給が改善すれば人造黒鉛電極の需要も増加する傾向にある。
LMEアルミニウム価格の推移
鋼材市況の価格や在庫の推移

業績

鋼材やアルミニウムなど、世界的な需給や生産と在庫の調整に長期間を要す産業の一角のため、経営状況は10年と長期間で見ても変動が大きい。過去5期分の経営状況を見ると、売上高は2017年3月期に127億円で底打ちし、2019年3月期は379億円と中国向けに生じた人造黒鉛電極の特需と、原料価格上昇による販売価格の値上げで、拡大したが足元はコロナ新型コロナウイルスの影響による経済活動停滞を背景に弱含んでいる。経常利益は2016年3月期と217年3月期が赤字であった。2021年3月期会社計画では売上高214億円、経常利益33億円を見込む。営業CFは安定してプラス、投資CFと財務CFは恒常的にマイナスである。自己資本比率は2020年3月期で84.0%と、前期の75.0%に引き続き健全な財務状況を保つ。