5331 ノリタケカンパニーリミテドの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1904年に日本陶器合名会社として、高圧碍子の製造研究を目的に創立。1917年に合名会社から株式会社へと改組。1939年には工業用研削砥石の製造を本格化。1981年に株式会社ノリタケカンパニーリミテドへ商号変更。1949年5月東証一部に上場。世界的な高級陶磁器食器メーカー。研削・研磨製品でも国内シェアトップを誇る。

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の大株主は、明治安田生命保険相互会社が筆頭株主で8.8%、次いで日本マスタートラスト信託銀行株式会社が信託口で7.4%、第一生命保険株式会社で7.1%、その他には株式会社日本カストディ銀行が信託口で5.2%、株式会社三菱UFJ銀行が3.8%、TOTO株式会社が3.5%など、信託銀行等や生損保の機関投資家が並ぶ。外国人株式保有比率は10%以上20%未満。

取締役会

取締役は6名(社内4名、社外2名)、監査役4名 (社内2名、社外2名)、補欠監査役1名、監査役会設置会社である。代表権を持たない社内取締役2名の内、東山明氏は1986年4月に同社に入社。エンジニア事業や工業機材事業に従事し、2019年6月に現職に就任。もう1名の夫馬裕子氏は1986年4月に同社に入社。経営企画部門や経営管理部門に従事し、2019年6月に現職に就任。いずれもプロパー社員である。

代表取締役の経歴

代表取締役会長の小倉忠氏は1951年1月生まれ。名古屋大学大学院工学研究科を卒業後、1975年4月に同社に入社後、2005年6月に取締役、2008年6月に常務取締役、2010年6月に専務取締役、2012年4月に代表取締役副社長、2013年6月代表取締役社長を経て、2018年6月に現職へ就任した。
代表取締役社長の加藤博氏は1957年1月生まれ。慶應義塾大学商学部を卒業後、1979年4月に同社に入社。2011年6月に取締役、2014年5月に常務取締役、2017年6月に代表取締役副社長を経て、2018年6月に現職へ就任した。

報告セグメント

同社事業は、「工業機材」、「セラミック・マテリアル」、「エンジニアリング」、「食器」の4報告セグメントに大別される。直近2020年3月期第3四半期では売上高91,111百万円の内、工業機材が44,413百万円で48.7%、セラミック・マテリアルが24,230百万円で26.5%、エンジニアリングが16,834百万円で18.4%、食器が5,633百万円で6.1%を占める。セグメント利益は期により変動が大きいが、セラミック・マテリアル、エンジニアリングの利益率が1桁後半から10%前後ある一方、工業機材は2~3%程度と低く、食器事業は赤字が継続。

事業モデル

世界的な高級陶磁器食器メーカー。セラミック技術に強みを持ち、研削・研磨製品では国内最大手のメーカーである。
工業機材事業は、研削・研磨関連製品を中心に取り扱う。研削砥石・ダイヤモンド工具・研磨布紙の製造・販売は、子会社及び関連会社が行う。海外でも、海外子会社3社を通して販売。研削砥石では国内トップシェアを誇り、自動車、鉄鋼、ベアリング業界を中心に幅広い産業で使用されている。
セラミック・マテリアル事業は、電極や絶縁体に用いられる電子ペーストや、セラミック製品、石膏等を製造。自動車、エネルギー、医療といった様々な業界に提供している。
エンジニアリング事業は、焼成炉や乾燥炉といった加熱装置や濾過装置等の各種製造装置を設計・販売する。次世代エネルギー分野や自動車分野での販売が拡大している。セラミック・マテリアル事業とエンジニアリング事業は共に、同社を中心に一部関連会社と製造・販売を行う。
食器事業は陶磁器を手掛け、同社が中心に製造販売を行う。海外でも製品が流通しており、新興国市場での開拓が進む。
2020年3月期の地域別売上高は日本が61.3%、アジアが29.2%、米州、欧州、その他地域と続く。全事業で原材料の一部を輸入し、セラミック・マテリアル事業及び食器事業では輸出比率が高く、製造販売を担う海外拠点も多いことから為替の変動影響が大きい。2021年度までの中期経営計画では、海外生産拠点の増強と海外市場開拓の推進を掲げ、海外販売比率を50%まで高めることを長期的目標に掲げる。

2019年度決算説明資料

競合他社

陶磁器食器の老舗5343ニッコー株式会社(直近決算期売上高13,422百万円)、通信関連のセラミック基板で世界トップシェアの5344株式会社MARUWA(同41,231百万円)、ダイヤモンド工具国内首位の6140旭ダイヤモンド工業株式会社(同35,304百万円)などが競合として挙げられる。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社23社、非連結子会社2社、持分適用会社4社から構成される。連結子会社は海外12社、国内11社で、米国に北米・中南米で販売代理店を管理する1社、ドイツに欧州の販売代理店を管理する1社、オーストラリアで食器の販売を行う1社、イギリスにセラミック製品の販売を行う1社、中国に工業機材の製造会社と販売を行う2社、台湾にセラミック製品の製造を行う1社、タイに工業機材の製造会社2社とセラミック製品の製造会社1社、インドネシアにセラミック製品の製造会社1社、スリランカに食器の製造会社1社、ドイツに1社、英国に1社、オーストラリアに1社、国内子会社は工業機材の販売を行う株式会社ゼンノリタケと日本フレキ産業株式会社の2社を除く9社が各事業製品の製造を行う。

強み・弱み

研削・研磨製品で国内シェアトップ誇ることが強みである。食器製造で培った研削・研磨技術を元に、工業用砥石の製造を進めたリーディングカンパニーである。自動車、鉄鋼業界を中心に様々な産業に多くの顧客を抱える。創業から100年以上積み重ねてきたセラミック技術を元に、顧客に合わせた商品ラインナップを豊富に展開している。懸念点としては工業機材の最大の販売先である自動車産業で、自動車内燃料機関の市場が縮小している点が挙げられる。

KPI

様々な業界へ様々な製品を販売しており、業績影響が大きい販売先動向として、下記のものが挙げられる。また、中期経営計画に掲げる海外事業の進捗を図るKPIとして、特に海外市場の開拓を進める工業機材事業、セラミック・マテリアル事業、食器事業の海外事業比率の推移はKPIとして挙げられる。
自動車、鉄鋼、ベアリング業界の販売・生産状況
スマートフォン等通信機器の生産状況
リチウムイオン電池及び電子部品分野の設備投資の動向
④ホテル・エアライン業界の動向

2019年度決算説明資料

業績

中長期的に見ると、セラミック・コンデンサー用の電子ペーストや、リチウムイオン電池材料向けの乾燥炉・焼成炉の販売が減少した2014年3月期が業績の底で、2020年3月期までに売上高が約1.3倍、経常利益は約3.2倍に回復。2019年3月期以降は、主要な販売先の生産調整の影響から減収減益であったがコロナウイルス感染拡大によりその傾向が顕著となり、足元でも減収減益が継続。主要営業CFは安定してプラス、投資CFと財務CFは恒常的にマイナスである。自己資本比率は2020年3月期で69.0%と、前期の68.4%に引き続き健全な財務状況を保つ。