5331 ノリタケカンパニーリミテドの業績について考察してみた

5331 ノリタケカンパニーリミテドの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q4 2023.03 35,559 2,013 5.66%
FY2024.Q1 2023.06 33,463 2,347 7.01%
FY2024.Q2 2023.09 34,096 2,542 7.46%
FY2024.Q3 2023.12 36,336 3,163 8.7%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 29,225 1,319 4.51%
FY2018.Q1 2017.06 28,209 1,062 3.76%
FY2018.Q2 2017.09 28,702 1,161 4.05%
FY2018.Q3 2017.12 30,994 1,804 5.82%
FY2018.Q4 2018.03 30,023 1,070 3.56%
FY2019.Q1 2018.06 30,575 1,915 6.26%
FY2019.Q2 2018.09 31,386 1,885 6.01%
FY2019.Q3 2018.12 32,152 2,110 6.56%
FY2019.Q4 2019.03 31,689 1,574 4.97%
FY2020.Q1 2019.06 31,754 1,647 5.19%
FY2020.Q2 2019.09 30,161 1,043 3.46%
FY2020.Q3 2019.12 29,196 893 3.06%
FY2020.Q4 2020.03 29,500 624 2.12%
FY2021.Q1 2020.06 25,722 294 1.14%
FY2021.Q2 2020.09 24,467 -554 -2.26%
FY2021.Q3 2020.12 27,097 669 2.47%
FY2021.Q4 2021.03 29,714 2,148 7.23%
FY2022.Q1 2021.06 29,506 1,769 6%
FY2022.Q2 2021.09 31,953 2,425 7.59%
FY2022.Q3 2021.12 32,428 2,504 7.72%
FY2022.Q4 2022.03 33,754 2,655 7.87%
FY2023.Q1 2022.06 32,217 2,209 6.86%
FY2023.Q2 2022.09 35,584 2,324 6.53%
FY2023.Q3 2022.12 36,134 2,423 6.71%
FY2023.Q4 2023.03 35,559 2,013 5.66%
FY2024.Q1 2023.06 33,463 2,347 7.01%
FY2024.Q2 2023.09 34,096 2,542 7.46%
FY2024.Q3 2023.12 36,336 3,163 8.7%

沿革

1904年1月に輸出用陶磁器の製造を目的として、日本陶器合名会社を設立。1917年7月に日本陶器株式会社へ改組。1939年11月に工業用研削砥石の本格的な製造を開始。1949年5月に東証一部に上場、現在は東証プライム市場に区分。1981年4月に株式会社ノリタケカンパニーリミテドに商号変更。本社は愛知県名古屋市。研削砥石で国内トップを誇り、高級陶磁器の製造・販売も行う

株主構成

2023年3月期第2四半期報告書によると、2022年9月30日時点の筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行の信託口で10.9%、次いで明治安田生命保険相互会社が8.8%、第一生命保険株式会社が7.1%、その他は保有割合5%未満で株式会社日本カストディ銀行の信託口、株式会社三菱UFJ銀行、5332TOTO、BNP PARIBAS SECURITIES SERVICES LUXEMBOURG/JASDEC/JANUS HENDERSON HORIZON FUND、日本生命保険相互会社と続く。その他には取引先持株会や国内金融機関が並ぶ。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は6名(社内4名、社外2名)、監査役4名 (社内2名、社外2名)、監査役会設置会社である。社内取締役2名はプロパーとみられる。取締役専務執行役員の東山明氏は工業機材事業本部、取締役執行役員の夫馬裕子氏は経営管理本部長をそれぞれ兼任する。

代表取締役の経歴

代表取締役会長の小倉忠氏は1951年1月生まれ。名古屋大学大学院工学研究科を卒業後、1975年4月に同社に入社。2005年6月に取締役、2008年6月に取締役常務執行役員、2010年6月に取締役専務執行役員、2012年4月に代表取締役副社長執行役員、2013年6月代表取締役社長執行役員を経て、2018年6月に現職へ就任した。
代表取締役社長執行役員の加藤博氏は1957年1月生まれ。慶應義塾大学商学部を卒業後、1979年4月に同社に入社。2011年6月に取締役執行役員、2014年5月に取締役常務執行役員、2017年6月に代表取締役副社長執行役員を経て、2018年6月に現職へ就任した。

報告セグメント

「工業機材」、「セラミック・マテリアル」、「エンジニアリング」、「食器」の4セグメントに大別される。2022年3月期の売上高127,641百万円の内、工業機材が57,346百万円で44.9%、セラミック・マテリアルが40,749百万円で31.9%、エンジニアリングが23,585百万円で18.5%、食器が5,960百万円で4.7%を占める。
セグメント利益の過半数をセラミック・マテリアルが創出する。利益率はセラミック・マテリアルが1桁後半から10%台前半、エンジニアリングが1桁後半、工業機械が1桁台からマイナス、食器がマイナスを推移する。

事業モデル

主力の工業機材事業では研削・研磨関連製品を中心に取り扱い、国内外に製品を提供する。研削砥石では国内トップシェアを誇る。自動車や鉄鋼、ベアリング業界を中心に幅広い産業に販売する。研削砥石やダイヤモンド工具、研磨布紙の製造・販売は子会社及び関連会社が行い、海外での販売は海外子会社3社を通して行う。今後は事業をオーダーメイド品と汎用品の2つに再編し、効率的な事業体制の整備を目指す。オーダーメイド品では半導体、電気自動車等の成長産業向け製品の開発に注力する。
セラミック・マテリアル事業では、電極や絶縁体に用いられる電子ペーストやセラミック製品、石膏等を製造・販売する。自動車業界やエレクトロニクス業界を中心に製品を提供する。電子ペーストはエレクトロニクス分野での商品の拡充や生産体制の強化を行い、シェア拡大を目指す。また電子部品材料は、需要が堅調な通信分野や自動車分野で用いられる積層セラミックコンデンサ用材料の生産能力強化を推進する。
エンジニアリング事業は、焼成炉や乾燥炉を含む加熱装置や濾過装置等の各種製造装置を製造・販売する。エレクトロニクス分野や自動車分野での販売が増加傾向にあり、今後は医療・医薬や半導体、新素材等の新分野への参入を目指す。
食器事業は高級陶磁器を手掛ける。近年は赤字が続いており、今後は国内でのオンライン販売の強化やホテルレストラン向けの拡販と物流体制の再整備による経費削減を行い、黒字化を目指す。また海外ではインド、中国等の成長市場での拡販に注力する。
セラミック・マテリアル事業とエンジニアリング事業、食器事業では、同社を中心に一部関連会社と製造・販売を行う。
2022年3月期の海外売上高比率は44.4%で、地域別では米州が7.1%、欧州が2.7%、中国が8.3%、韓国が10.4%、その他アジアが15.2%、その他が0.8%を占める。セラミック・マテリアル事業及び食器事業では輸出比率が高く、為替の変動影響が大きい。

競合他社

老舗陶磁器食器メーカーの5343ニッコー (2022年3月期売上高12,577百万円) 、通信関連向けセラミック基板で世界首位の5344MARUWA (2022年3月期同54,344百万円)、ダイヤモンド工具で国内首位の6140旭ダイヤモンド工業 (同37,161百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社23社と非連結子会社2社、持分法適用関連会社4社を持つ。海外ではアジアを中心に連結子会社を展開しており、タイに4社、中国に3社の連結子会社を持つ。その他はインドネシア、スリランカ、オーストラリア、米国、ドイツ、イギリスにそれぞれ1社を展開。また、セラミック・マテリアル事業を担う共立マテリアル株式会社は、連結売上高に占める売上高の割合が10%を超える。

強み・弱み

強みとして研削砥石で国内トップシェアである点が挙げられる。同社は窯業を基に事業展開をしており、高い研削・研磨技術を有する。国内ではいち早く工業用砥石の製造を進めたリーディングカンパニーとして存在感を示す。自動車、鉄鋼業界を中心に様々な産業に多くの顧客を抱え、汎用品から顧客に合わせたオーダーメイド品まで商品ラインナップを豊富に展開する。
懸念点として工業機材の最大の販売先である自動車内燃料機関の市場縮小に伴う売上減少リスクや、売上の4割以上を海外が占めている点から為替変動リスクが挙げられる。

KPI

KPIには工業機材事業における①自動車、鉄鋼、ベアリング業界の生産状況、セラミック・マテリアル事業における②スマートフォンやパソコン等の通信業界の生産状況、エンジニアリング事業での③リチウムイオン電池等の電子部品分野での生産状況、④海外販売比率、⑤海外生産比率が挙げられる
①自動車、鉄鋼、ベアリング業界の生産状況
②スマートフォンやパソコン等の通信業界の生産状況
③リチウムイオン電池等の電子部品分野での生産状況
④海外販売比率(2022年3月期)
⑤海外生産比率(同)

2022年3月期 決算説明資料

業績

売上高は、電子ペーストや乾燥炉・焼成炉の販売が低下した2014年3月期を底に2019年3月期にかけて約1.4倍に増加。2020年3月期は、北米や東南アジアでの自動車生産台数の減少や海外でのスマートフォン等の通信機器の減産が影響し、▲4.1%に減少した。2021年3月期は新型コロナ流行による工業機材事業での顧客の大幅な減産を受けて、▲11.3%に減少。2022年3月期は、工業機材事業での需要回復やセラミック・マテリアル事業での電子ペーストの大幅な売上増加により、前期比+19.6%に増加した。経常利益は2014年3月期から2019年3月期にかけて約5.1倍に増益したものの、2021年3月期にかけて▲54.1%に減益。2022年3月期は工場稼働率の改善が進み、前期比+179.2%の増益で過去最高額となった。フリーCFは2021年3月期を除いてプラスを推移。2021年3月期は減収減益や有形・無形固定資産の取得が重なり、マイナスとなった。自己資本比率は60%台後半から70%台前半を推移する。

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