3320 クロスプラスの業績について考察してみた

3320 クロスプラスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1951年 8月 婦人ブラウス製造卸を目的に愛知県にて櫻屋商店として創業。1953年 4月櫻屋商事株式会社を設立。1986年7月岐阜県にCP流通センターを開設、2000年9月中国の上海、青島に駐在員事務所を開設。2001年 8月クロスプラス株式会社に商号変更し、2004年 4月東証二部、名証へ上場。婦人衣料の製造卸売販売で量販店や専門店向けに販売し、製造規模は業界トップクラス、アクセサリー等の服飾雑貨の企画・製造・販売や店舗・ECでの小売販売も行う。

株主構成

有価証券報告書によると2020年7月末時点の筆頭株主は、元取締役副会長の辻村隆幸氏で8.18%を保有。その他、クロスプラス社員持株会が4.47%、元代表取締役会長の森文夫氏3.18%、や繊維専門商社などの取引先と個人名が並び、日本カストディ銀行の信託口が3.31%を保有する他に機関投資家らしき保有はみられない。なお、筆頭株主の辻村隆幸氏は、創業者で故名誉会長の辻村重治氏の一族とみられる。

取締役会

取締役は6名(社内4名、社外2名)、監査役は4名(うち社外2名。なお、社内2名中1名は常勤)、監査役会設置会社である。なお、代表取締役社長を除く3名の社内取締役はいずれもプロパー社員とみられる。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の山本大寛氏は1977年6月24日生まれ。2002年3月東京大学大学院修了後、新日本製鉄(現新日鉄住金)入社。その後、2008年1月 同社へ入社。執行役員を経て、2014年4月 より代表取締役社長を務める。

報告セグメント

衣料品事業の単一セグメントとみられるが、セグメント情報の記載はない。事業部門別に衣料品事業の「アパレル卸売部門」、「アパレル小売部門」、子会社による児童発達支援サービス(発達障害の未就学児童の療育支援)などを含む「その他」の3部門に大別される。
2021年1月期売上高64,002百万円の構成比は、アパレル卸売が56,421百万円(88.1%)、アパレル小売が7,467百万円(11.6%)、その他が113百万円(0.3%)である。
また、販売チャネル別には専門店が4割強、量販店が3割強の他、百貨店や店舗を持たない先やECなどが3割弱、詳細は下図。

2021年1月期 第68期 決算説明会資料

事業モデル

同社、および連結子会社による衣料品やアクセサリー、企画、製造、販売が主な事業。婦人衣料は製造卸売販売が中心で、アクセサリーなどの服飾雑貨は卸売販売に加えて、百貨店の直営店での販売、ECサイトでの小売販売も行う。子会社サードオフィスでは専門店へのメンズODM・OEM販売を行う。株式会社しまむら等の量販店や専門店への卸売が売上高の8割以上を占める。婦人服業界でトップクラスの企画・生産力を持ち、年間5,500万枚の商品製造が可能で、トップスからボトムまでのフルアイテムをラインナップ。有価証券報告書に生産設備の記載がなく、中国やアセアンの海外有力工場との取組による効率的な生産体制とあることからファブレスで、上海子会社での検品や国内の物流センターとを繋ぎグローバルなサプライチェーンを構築しているとみられる。相手先別の販売先として株式会社しまむらが販売割合20~30%を占める旨開示されている。2018年1月期まではイオンリテール株式会社も約10%を占める先として開示されていた。
子会社による児童発達支援サービスはCSR(企業の社会的責任Corporate Social Responsibility)の一環とみられる。

競合他社

婦人服しまむらへの卸売りや直営を行う9982タキヒヨー(2021年1月期売上高64,002百万円)繊維専門商社で製造小売りも行い、同社の株式持合先でもある7460ヤギの他、非上場企業では婦人服が中心の小泉アパレル株式会社(売上高121億円 HPより)を傘下にもつ大阪の小泉グループ、名古屋のレディスアパレルに強い万兵株式会社(2018年12月期売上高104億円HPより)、ヒロタ株式会社(2019年6月期206億円HPより)、などがレディスを中心に量販店販売する衣料品の企画製造販売事業者として挙げられる。

連結の範囲

株式会社サードオフィス(専門店への販売、ECサイトによる消費者へのアクセサリー販売)、株式会社中初(レディース用帽子の専門店等への販売)、株式会社クリーズ(株式会社中初への卸売販売)、客楽思普勒斯服飾整理有限公司(中国での商品検品、検針、物流加工)、株式会社ディスカバリープラス(児童発達支援サービスの提供)、の5社が連結子会社に該当する。

強み・弱み

婦人衣料の企画製造販売能力で国内トップクラスの量産体制のサプライチェーンを有することが強み。衣料品だけでなく服飾雑貨も取り扱い、コロナ禍ではマスクなどの商品を迅速に開発して販売し業績拡大に寄与した。販売チャネルの観点からもECを有すなど、事業の幅が広くリスクが分散されている点は強みである。長期的な同社業績に表れているように、当社の主たる販売先である量販店や専門店の販売力がECの登場や国内市場の縮小により低下していくことが懸念点である。

KPI

主要顧客である「しまむら」やイオンなどの量販店における衣料品の販売動向は参考となる。粗利率、各事業部門別や販売チャネル別の売上高もKPIとなりうる。
量販店における衣料品の販売動向
②事業部門別売上高
③販売チャネル別売上高

業績

過去10年では、売上高は長期的に減収傾向が続き、2016年1月期以降はかろうじて黒字を確保するも低い利益率にとどまっていた。2021年1月期は状況が一転し、コロナ禍への対応で新規に開発投入したパステルマスクなどの販売好調から大幅な増収増益で、売上高64,002百万円(前期比+9.4%)、営業利益は2,148百万円(前期比+311.6%)。利益の増加は粗利の改善によるところが大きい。営業CFは安定せず、投資CFはわずかにプラスであることが多い。自己資本比率は45.8%。