4109 ステラケミファの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1944年2月、フッ素化合物の製造を手掛ける合名会社橋本製薬所が改組し、橋本化成工業株式会社として大阪府に設立された。1984年9月には半導体用高純度フッ化水素酸クリーンプラントが完成。1991年6月に運輸部門を分離独立し、1997年7月に現商号に変更。1999年10月に大証二部に上場し、2000年10月には大証一部に変更すると共に東証一部に上場。2007年6月、子会社を設立し、がん治療薬の開発・研究を本格化。

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月期末時点の大株主は、株式会社FUKADAが筆頭株主で9.2%、次いで日本カストディ銀行の信託口6.4%、日本マスタートラスト信託銀行の信託口5.8%、同社代表取締役社長の橋本亜希氏4.0%等。株式会社FUKADAは、同社代表取締役会長である深田純子氏の親族が株式を保有する資産管理会社。外国人株式保有比率は20%以上30%未満

取締役会

取締役は11名(社内8名、社外3名)、社外4名の内3名が監査等委員。監査等委員会設置会社である。社内取締役のうち、代表取締役社長を除く6名はプロパー社員とみられる。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の橋本亜希氏は1973年12月生まれ。深田会長の姪、創業者のひ孫にあたる。1996年3月に神戸国際大経済学部を卒業し、2012年3月に入社。取締役執行役員社長室長、代表取締役副社長を歴任した後、2015年1月に代表取締役社長に就任した

報告セグメント

「高純度薬品事業」、「運輸事業」、「メディカル事業」の3報告セグメントに大別される。運輸事業は高純度薬品事業の付随事業であり、メディカル事業は、がん細胞をピンポイントで破壊するホウ素中性子補足療法(BNCT)に使用するがん治療薬の開発・研究を行っている。同社はBNCTに必要な濃縮ホウ素の濃縮プラントを保有する国内唯一の企業である。2021年3月期第3四半期の売上高24,731百万円の構成比は、高純度薬品事業87.3%、運輸事業12.0%、メディカル事業0.6%。営業利益2,902百万円の大半は高純度薬品事業におけるもので、メディカル事業については黒字化していない。

事業モデル

高純度薬品事業(半導体液晶が全体の56.5%)では、原材料となる無水フッ化水素を中国から輸入し、半導体のエッチング剤、半導体・液晶の洗浄剤、フロンガス・フッ素樹脂原料、リチウムイオン二次電池用電解質・添加剤等を製造販売している。所在地別売上高は、日本51.8%、海外48.2%

競合他社

半導体ウエハーの洗浄剤・エッチング剤の原料となる高純度フッ化水素では森田化学工業株式会社(大阪府)や関東電化工業株式会社等。ハイブリッド車等に使われるリチウムイオン二次電池用電解質では関東電化工業株式会社等を挙げることができる。

連結の範囲

グループは、同社の他、連結子会社8社、持分法適用関連会社2社。連結子会社は、運輸事業を手掛けるブルーエキスプレス株式会社、メディカル事業を手掛けるステラファーマ株式会社の他、中国(3社)及びシンガポール(2社)の製造子会社や運輸子会社等。持分法適用関連会社は、韓国の製造会社及び中国の高度純薬品原料会社。

強み・弱み

強みは、高い品質と安定した供給体制を背景に半導体やリチウムイオン電池など最先端技術に関わる分野で高いマーケットシェアを有すること。一方、弱みは、半導体液晶(主に半導体)への依存度の高さ、及び主要原材料である無水フッ化水素酸の市況変動が大きいこと。このため、半導体液晶分野以外の製品開発・販売拡大に取り組んでいる他、メディカル事業を展開している。

KPI

主力の半導体液晶部門の売上を左右する半導体需要や半導体メーカーの設備投資の動向、主要原材料である無水フッ化水素酸価格の推移がKPIになり得る。また、中長期の成長を考えるうえでは、半導体液晶部門以外の売上推移、市場規模に比べて実績が少ない北米・欧州での売上推移、更にはメディカル事業の売上推移にも注目していきたい。

高純度薬品事業売上高の内訳 *単位:百万円

業績

2020年3月期までの5年間は、半導体液晶の生産及び設備投資の回復で良好な事業環境が続いた。しかし、2018年3月期は増収ながら、原材料価格高騰で営業減益。2020年3月期は米中貿易摩擦や韓国向け輸出管理見直しの影響で減収・減益。自己資本比率は52.9%~63.9%で推移し、5年間の総額ベースでフリーCFは黒字。2021年3月期第3四半期決算は前年同期比0.8%の増収、同75.9%の営業増益。原材料価格が低水準で推移したことに加え、原子力関連施設向け濃縮ホウ素(ボロン10)が増益に貢献した。