4448 Chatworkの業績について考察してみた

4448 Chatworkの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q1 2023.03 1,422 -148 -10.41%
FY2023.Q2 2023.06 1,502 -280 -18.64%
FY2023.Q3 2023.09 1,689 -247 -14.62%
FY2023.Q4 2023.12 1,872 -9 -0.48%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2019.Q3 2019.09 459 6 1.31%
FY2019.Q4 2019.12 503 16 3.18%
FY2020.Q1 2020.03 541 85 15.71%
FY2020.Q2 2020.06 613 140 22.84%
FY2020.Q3 2020.09 620 62 10%
FY2020.Q4 2020.12 650 40 6.15%
FY2021.Q1 2021.03 688 -9 -1.31%
FY2021.Q2 2021.06 735 -110 -14.97%
FY2021.Q3 2021.09 892 -221 -24.78%
FY2021.Q4 2021.12 1,057 -348 -32.92%
FY2022.Q1 2022.03 1,049 -137 -13.06%
FY2022.Q2 2022.06 1,101 -110 -9.99%
FY2022.Q3 2022.09 1,162 -227 -19.54%
FY2022.Q4 2022.12 1,281 -245 -19.13%
FY2023.Q1 2023.03 1,422 -148 -10.41%
FY2023.Q2 2023.06 1,502 -280 -18.64%
FY2023.Q3 2023.09 1,689 -247 -14.62%
FY2023.Q4 2023.12 1,872 -9 -0.48%

沿革

2000年7月、大阪府にてEC studioを創業、企業向けのホームページ集客を支援するサービスの提供を開始する。2004年11月に法人化。2008年4月にセキュリティ事業を開始した後、2011年3月にビジネスチャット「Chatwork」をリリースし、Chatwork事業を開始した。2018年11月に現社名の株式会社Chatworkに社名変更。2019年9月に東証マザーズに上場した。現在は東証グロース。

株主構成

有価証券報告書によると2021年12月末時点の筆頭株主は、同社代表取締役兼社長執行役員の山本正喜氏の資産管理会社である株式会社EC studioホールディングスで保有割合52.07%(個人名の保有を合わせると55.81%)。以降は保有割合5%未満で海外金融機関、信託銀行信託口や同社社長、副社長等がならぶ中、GMOのベンチャーキャピタルが保有割合1.46%で9番目に名を連ねる。外国人株式保有比率は10%未満

取締役会

取締役は4名(社内3名、社外1名)、監査役は3名(全員社外)、監査役会設置会社である。代表取締役以外の役員は、経歴や年齢、入社時期も様々である。

代表取締役の経歴

代表取締役兼社長執行役員 CEO兼CTOの 山本正喜氏は1980年3月生まれ。電気通信大学情報工学科卒業。大学在学中に兄と共に、同社前身のEC studioを創業した。以降、CTO(Chief Technology Officer)として開発に携わる。2018年6月に、代表取締役に就任した。

報告セグメント

「Chatwork」事業」と「セキュリティ事業」の2報告セグメントに大別される。2021年12月期売上高3,372百万円の構成比はChatwork事業93.5%、セキュリティ事業6.5%。全社の営業損失は▲688百万円で、Chatwork事業は▲734百万円の赤字だった。

事業モデル

Chatwork事業は、国内全事業者・全ビジネスパーソンを対象に、ビジネスコミュニケーション向けチャットサービスを提供する事業。無料で利用可能なフリープランを提供する「フリーミアム」による手法がユーザー獲得の主力形態である

2021年12月期決算説明会資料

ユーザーが有料プランに移行した際の月額定額利用料(1ユーザー月額500円~)や、フリープランのユーザーを対象にアプリケーション上に表示される広告掲載料が同事業の収益源となる。また大企業・公官庁向けには「Chatwork」のOEM版を、KDDIを通じて提供している(OEM提供にかかる収益はID数に応じたレベニューシェアとシステム運用に係る業務委託料をKDDIより受領)。
またChatwork DX相談窓口を介し周辺サービスに誘導、アカウント課金に依存しない収益を生み出している

2021年12月期決算説明会資料

セキュリティ事業は、自社販売サイトにてセキュリティ対策ソフトウェアの仕入販売を行っている。同社グループとしては同セグメントの積極的な事業拡大を行わない方針としている。
コロナ禍以降、テレワーク需要の拡大に伴いビジネスチャットも急速に拡大。2021年10月の調査ではビジネスチャットの国内普及率は15.6%で、半年前の調査時(14.2%)からマーケットの拡大は継続している。

競合他社

2013年にアメリカでリリースされ、2017年に日本語版もリリースされた「Slack」は、世界で1,200万人以上のDAU、11万9,000社を超える企業が有料プランを導入している。他に、導入企業が10万社を超える「LINE WORKS」を提供するワークスモバイルジャパン株式会社やTeamsを提供するMicrosoftなどが挙げられる。

連結の範囲

クラウド型オンラインストレージの提供を行うChatworkストレージテクノロジーズ株式会社の1社。2021年7月に子会社化した。

強み・弱み

サブスクリプション型課金モデルのため、課金ユーザーのストック拡大に伴い安定的な収益を見込める。また同社はITリテラシーに関わらず取り組みやすいインターフェイスを設計(オリコン顧客満足度2業種にて第1位を獲得)し、中小企業をターゲット層としているため、個社依存が少ない有料ユーザーから得た収益から無料ユーザー分を含めた費用を賄うフリーミアムを採用しているため、有料ユーザーの割合を増やしていくことやAPRUを適切にコントロールすることが同社の課題であると考えられる。

KPI

①登録ID数(2021年12月期末476.1万)
②DAU数(1日当たりのサービス利用者数、同97.8万)
③課金ID数(同54.9万)
④APRU(課金IDあたりのChatwork利用料平均単価、同528.1円)
⑤利用企業数(同34.3万社)
国内ビジネスチャットツール導入率(2018年23.7%。※総務省「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究」)

2021年12月期決算説明会資料

業績

2017年12月期以降の業績をみると売上高は2021年12月期に5期連続増収を達成、同期間中に3倍超の規模に成長した。人材採用や広告・マーケティング活動の積極化により、2021年12月期は営業損失(赤転)となった。フリーCFは2017年12月期以降の5期中3期がマイナス。2021年12月期末の自己資本比率は64.3%。当期損失の計上や借入金による調達などにより低下傾向にある。

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