オルタナティブデータとは
投資情報収集のデジタル化が進展することにより近年台頭してきたデータで、POSデータ、クレジットカードデータ、位置情報、衛星画像などの、これまで活用されてこなかった代替的なデータ全般を指す。
企業が開示する財務諸表や業界に関連する経済統計、その企業へのインタビューなどの情報が四半期や1年に1度しか更新されない一方で、オルタナティブデータを用いた場合、 即時性が高く、詳細な項目別の数値を把握する事ができる。
その結果、企業による財務諸表などの情報開示前の投資判断が可能となることから、精度が高く迅速な投資判断につながることが期待されている。
オルタナティブデータの活用方法
3186ネクステージについてオルタナティブデータを活用した分析プロセスを紹介する。同社は中古車販売の大手企業として知られ、他にも新車販売、中古車買い取り、整備事業などを展開しており車に関するガソリン給油以外のすべてのビジネスをカバーしている。4月4日に発表された1Q決算では、純利益で前年同期比を54.6%上回る30.3億円に着地した。
オルタナティブデータを用いたネクステージの1Q決算の予測値と実際の決算を見比べてオルタナティブデータの活用方法と注意点について紹介する。
上記のオルタナティブデータを用いることによりネクステージの中古車販売の月次の金額が分かるので、四半期ごとに足していくことで四半期の業績を予測できる。
下記の青色部分が実績値の手入力、中古車売却金額はPERAGARUのオルタナティブデータから取得した金額である。
中古車売却金額/売上高の倍率がおおよそ66%であるためここではFY21/4Qの66.6%の割合をFY22/1Qにも適用してみる。すると、売上高はおよそ886億円、経常利益でおよそ43億円と予想できた。さて、この数値を実際のFY22/1Qの決算と見比べて答え合わせをしてみよう。
FY22/1Qの実績値とオルタナティブデータを用いた予測値を比べるとその乖離は売上高ではおよそ8%、経常利益では2%とわずかな乖離に収まった。
PERAGARU計測の中古車販売金額の伸長ほど売上高が伸びなかった要因としては、データ取得時点と売上高計上日に差異があることが挙げられる。同計測値はネクステージの中古車販売webサイトで車両が非掲載になった時点を「販売された」とみなし集計しているが、実際に担当者がwebサイトの掲載を取り下げてから顧客に引き渡すまでには時間差がある。そのため、今年1・2月にサイト非掲載になった中古車分の売上高が2Q売上高の増加に大きく寄与する可能性がある。
同社は中古車販売以外に新車販売など他事業も行っている。世界的な半導体不足に伴う自動車生産の鈍化や国内景気、消費者購買意欲などの減退によって新車販売が滞り全体の売上に占める中古車の割合が相対的に高くなったということも考察できる。オルタナティブデータを活用する際にはこのようなマーケット全体の情勢や他事業との兼ね合いも意識することが大切である。
オルタナティブデータとは その活用方法を解説
オルタナティブデータとは その活用方法を解説 Case.2 ~7082ジモティー~
オルタナティブデータとは その活用方法を解説 Case.4 ~6034MRT~