オルタナティブデータとは
投資情報収集のデジタル化が進展することにより近年台頭してきたデータで、POSデータ、クレジットカードデータ、位置情報、衛星画像などの、これまで活用されてこなかった代替的なデータ全般を指す。
企業が開示する財務諸表や業界に関連する経済統計、その企業へのインタビューなどの情報が四半期や1年に1度しか更新されない一方で、オルタナティブデータを用いた場合、 即時性が高く、詳細な項目別の数値を把握する事ができる。
その結果、企業による財務諸表などの情報開示前の投資判断が可能となることから、精度が高く迅速な投資判断につながることが期待されている。
オルタナティブデータの活用方法
7082ジモティーについてオルタナティブデータを活用した分析プロセスを紹介する。同社は地元で情報を探す人と情報を発信したい人をマッチングさせるプラットフォーム「ジモティー」を運営している。同社はクラシファイドサイト事業の単一セグメントだが、売上高比率はマーケティング支援が17.8%、自動配信売上が75.6%、手数料売上とその他の売上の合計が6.5%というように分けている。同社は2月14日にFY21の本決算を発表し、会社予想を上回る業績を達成した。
同日公表された決算説明資料によれば3年間でみたCAGRはマーケティング支援が23%、自動配信売上が16%に対して手数料売上+その他売上は487%成長と急速に伸びてきていることが分かる。したがって今後の同社の成長を予測するにあたってはこの手数料売上+その他売上の伸びが重要になってくると考えられる。ジモティーはユーザーの入会および利用時の手数料を原則無料にしているが、「あんしん決済機能」を利用した取引に対して一定の金額を課金する仕組みになっている。従来オフラインでの決済が主流だったジモティーが、昨年の夏からネットで決済が完結する同サービスを開始した。
「あんしん決済機能」とはオンライン上で商品を取引する投稿者と購入者の仲介をジモティーが受け持つことで安心して取引を行えるようにする決済機能である。手数料が5%(競合のメルカリは10%)と低率であること、ジモティー内で特にバイクや自動車などの高額商品で「あんしん決済機能」が使われることなどが一部の投資家から好感されている。株価に徐々に織り込まれつつあるが、弊社のオルタナティブデータでエリア別にみると関西エリアを中心にさらに伸びており、業績への更なる貢献が期待できる。
この「あんしん決済機能」のGMV(流通取引総額)についてオルタナティブデータを活用して予測しよう。
上記のオルタナティブデータを用いることにより「あんしん決済機能」の月次のGMVを推定することが出来る。これをもとに四半期ごとのGMVを計算し、テイクレートを推定できれば次の四半期の伸びを事前に把握することが出来る。
下記の青色部分が実績値の手入力、あんしん決済機能 予測GMVの箇所がオルタナティブデータから取得した数値、テイクレートはその売上に占める割合である。ここではFY22/1Qのテイクレートを前期の数値をもとに1.9%と置いた。
以上がオルタナティブデータを活用した「あんしん決済機能」の成長の予測である。まだこの「あんしん決済機能」はその他売上に区分されているため注目度が低いが、このサービスの収益が伸びた時にオルタナティブデータを使うことでいち早くこのサービスの動向を掴むことが出来ればアルファを獲得し投資判断に役立てることが出来るだろう。
オルタナティブデータとは その活用方法を解説
オルタナティブデータとは その活用方法を解説 Case.3 ~3186ネクステージ~
オルタナティブデータとは その活用方法を解説 Case.4 ~6034MRT~