6058 ベクトルの業績について考察してみた

6058 ベクトルの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2024.Q3 2023.11 14,863 2,014 13.55%
FY2024.Q4 2024.02 15,784 3,442 21.81%
FY2025.Q1 2024.05 13,877 1,374 9.9%
FY2025.Q2 2024.08 13,508 695 5.15%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.02 4,133 496 12%
FY2018.Q1 2017.05 4,399 575 13.07%
FY2018.Q2 2017.08 4,450 726 16.31%
FY2018.Q3 2017.11 5,615 1,142 20.34%
FY2018.Q4 2018.02 5,626 583 10.36%
FY2019.Q1 2018.05 6,225 646 10.38%
FY2019.Q2 2018.08 6,609 808 12.23%
FY2019.Q3 2018.11 8,388 722 8.61%
FY2019.Q4 2019.02 8,471 399 4.71%
FY2020.Q1 2019.05 8,640 480 5.56%
FY2020.Q2 2019.08 9,037 655 7.25%
FY2020.Q3 2019.11 9,638 882 9.15%
FY2020.Q4 2020.02 9,506 874 9.19%
FY2021.Q1 2020.05 8,961 -16 -0.18%
FY2021.Q2 2020.08 8,694 601 6.91%
FY2021.Q3 2020.11 9,867 1,431 14.5%
FY2021.Q4 2021.02 9,751 298 3.06%
FY2022.Q1 2021.05 11,144 1,131 10.15%
FY2022.Q2 2021.08 10,789 1,168 10.83%
FY2022.Q3 2021.11 12,361 1,551 12.55%
FY2022.Q4 2022.02 13,057 1,398 10.71%
FY2023.Q1 2022.05 13,132 1,477 11.25%
FY2023.Q2 2022.08 13,540 1,906 14.08%
FY2023.Q3 2022.11 14,491 1,830 12.63%
FY2023.Q4 2023.02 14,062 1,063 7.56%
FY2024.Q1 2023.05 14,758 1,414 9.58%
FY2024.Q2 2023.08 13,807 69 0.5%
FY2024.Q3 2023.11 14,863 2,014 13.55%
FY2024.Q4 2024.02 15,784 3,442 21.81%
FY2025.Q1 2024.05 13,877 1,374 9.9%
FY2025.Q2 2024.08 13,508 695 5.15%

沿革

1993年3月に西江肇司氏がセールスプロモーション事業を目的として株式会社デビアス設立、同年6月には現商号の株式会社ベクトルとなる。2000年4月にはPR事業を主体とした体制に移行。2005年12月に現在の株式会社PR TIMESとなる株式会社キジネタコムを設立。2012年3月東証マザーズ上場、2014年11月同一部へ市場変更、2022年4月からは東証プライム。50社に及ぶグループ企業抱え、グループでPR業務を軸に広告業務までの代理店サービスを提供。PR業界のNo.1。中国、韓国、タイ、インドネシア、ベトナム、ハワイなどにも広報・PR業務を行う連結子会社を広く展開する。VC関連子会社も融資、ベンチャーキャピタル事業も展開する。

株主構成

有価証券報告書によると、2022年2月末時点の筆頭株主は、創業者で代表取締役会長兼社長の西江肇司氏で39.39%保有。続いて、日本マスタートラスト信託銀行株式会社信託口が7.99%、株式会社日本カストディ銀行信託口が7.15%保有。以下は5%未満の保有率で、取締役副社長の吉柳さおり氏ならびに長谷川創氏、国外の金融機関などが続く。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は9名(社内4名、社外5名)、監査役は3名(1名は常勤で社内、2名は非常勤で社外)、監査役会設置会社である。代表権を持たない社内取締役のうち、副社長の長谷川創氏は創業時から参画、同じく副社長の吉柳さおり氏は1998年4月にプロパー入社、CFOの後藤洋介氏はソフトブレーン株式会社及び株式会社VOYAGE GROUP(現株式会社CARTA HOLDINGS)経験者。社外取締役には、主に金融関係経験者が就任。

代表取締役の経歴

代表取締役会長兼社長の西江肇司氏は1968年9月生まれ。関西学院大学在学中より起業家として活動。同学卒業後、1993年3月に同社前身の株式会社デビアス設立、代表取締役就任。2020年5月に代表権を持たない会長職に就くが、2022年3月より現職

報告セグメント

「PR・広告事業」、「プレスリリース配信事業」、「ビデオリリース配信事業」、「ダイレクトマーケティング事業」、「メディア事業」、「HR事業」、「ファンド事業」の7セグメントで構成される。なお、2023年2月期よりメディア事業ならびにファンド事業を、それぞれ「メディアCMS事業」ならびに「投資事業」へと名称変更。2022年2月期の外部顧客への売上高47,351百万円の構成比は、PR・広告事業54.4%、プレスリリース配信事業9.9%、ビデオリリース配信事業2.2%、ダイレクトマーケティング事業25.8%、メディア事業1.4%、HR事業5.3%、ファンド事業1.0%であった。また、同期の調整前セグメント利益5,252百万円の構成比は、PR・広告事業40.5%、プレスリリース配信事業34.9%、ビデオリリース配信事業▲1.4%、ダイレクトマーケティング事業14.7%、メディア事業▲0.4%、HR事業4.5%、ファンド事業7.2%となった。調整額は▲3百万円。売上高、セグメント利益の両面でPR・広告事業が主力となる。プレスリリース配信事業は売上高こそ多くはないものの、PR・広告事業に次ぐ利益を上げる。地域別売上高は日本国内が90%を超える。売上高の10%以上を占める取引先はない。

事業モデル

新商品の認知度アップへのアプローチを包括的にサポートする「PR代理店業務」を基本モデルとする。新商品リリースを伝えるニュースの発信、PRイベントの開催、PR用動画の撮影、提携メディアへの展開などPRの全行程をグループ内で遂行可能な点が特長。
主力のPR・広告事業はコンサルティングを基本とし、戦略PRサービスの提供及びタクシーの車内広告用タブレットなどを利用するIoTサイネージサービスを提供。
プレスリリース配信事業では、配信サイト「PR TIMES」をはじめとする多数のウェブサイトへ新商品情報を配信。利用企業数は69,000社に及ぶ。
ビデオリリース配信事業は、企業ニュースを1分程度の動画で配信するサービスを提供。動画制作から配信サービスまでを一貫して行う。
ダイレクトマーケティング事業は、物品のオンライン販売を中核とし、主に健康美容関連商品の輸入販売などを行う。
メディアCMS事業(旧メディア事業)は、オウンドメディアの構築・運営サービスなどを提供。
HR事業は、企業の人事評価制度の導入や運用を支援する。人事関連クラウドサービスの利用企業は5,000社に及び、HRTechのクラウドサービス内で高いシェアを誇る。教育・評価・タレントマネジメントの支援をフルパッケージで提供する。
投資事業(旧ファンド事業)は、投資事業有限責任組合の形式で投資先の株式を保有する。

2023年2月期第1四半期 決算説明資料 p.44

競合他社

2180(株)サニーサイドアップグループ(売上高15,356百万円)、2436共同ピーアール(株)(売上高5,609百万円)などが同業といえるが、同社の規模はこれら各社を大きく上回っており、全面的に競合する他社はない

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社46社、持分法適用関連会社4社で構成される。連結子会社のうち、株式会社プラチナム(PR・広告事業担当)ならびに株式会社ビタブリッドジャパン(ダイレクトマーケティング事業担当)は、売上高の連結売上高に占める割合が10%を超える。各社の割合は10.9%, 21.6%。

強み・弱み

認知度アップのためのWebサービスをフルラインナップしており、PRに関わるフローをグループ内で構築・提供できる点が強み。一方、インターネットPR業界は他業種に比較して参入障壁が低いため、他社の台頭によるシェア縮小のリスクあり。

KPI

以下が主要KPIと見られる。
・プレスリリース利用社数(2021年12月~2022年2月);69,257社(前年同期比+27.2%)
・プレスリリース配信数(同上):81,661件(同上+19.2%)
・ビデオリリース配信数(同上):137本(同上+5.4%)
・ビデオリリース平均配信単価(同上):2,561千円(同上▲12.9%)
・ダイレクトマーケティング販売個数(同上):870千個(同上+39.1%)
・人事関連サービス利用社数(同上):1,335社(同上+9.8%)

業績

2012年2月期から2022年2月期までの10年間で、売上高、経常利益ともに10倍以上へ拡大するなど急成長。同期は、売上高47,351百万円(前期比+27.0%)、営業利益5,248百万円(同+126.8%)、経常利益5,201百万円(同+85.9%)と上場来最高を記録。営業CFは恒常的にプラス、投資CFは概ねマイナスで推移。2023年2月期第1四半期の自己資本比率は40.8%。

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