1375 雪国まいたけの業績について考察してみた

1375 雪国まいたけの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1983年7月にまいたけの生産販売を目的に設立された株式会社雪国まいたけが前身。2000年3月より東証二部上場であったが、2015年6月にBain Capital PEを主体に非上場化し、ベインキャピタルグループ傘下での経営体制再構築を経て、神戸の米穀の卸売業等を営む株式会社神明ホールディングスを親引け先として2020年9月に東証一部へ再上場。茸類の生産販売を手掛ける、まいたけ国内トップシェア、新潟県本社。

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の筆頭株主は、株式会社神明ホールディングスで50.1%を保有。それ以下は5%未満の保有で、国内外の信託銀行等の信託口が中心である。外国人株式保有比率は10%以上20%未満。

取締役会

取締役は5名(社内2名、社外3名)、監査役4名 (社内1名、社外3名)、監査役会設置会社である。常務取締役の三枝俊幸氏は1997年3月に株式会社カミックスに入社後、2003年3月に親会社の株式会社神明ホールディングスへ入社。2017年10月に同社取締役へ就任し、2020年1月より現職。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の足利厳氏は1963年5月生まれ。明治大学法学部法律学科を卒業後、1987年4月に東急建設株式会社に入社、1996年5月に同社に入社。管理部門に従事する。2015年7月に常務執行役員、2016年4月に現職へ就任した。

報告セグメント

「茸事業」の単一セグメントで、報告セグメントに含まれない事業として「その他事業」がある。茸事業は、「まいたけ」、「エリンギ」、「ぶなしめじ」、「茸その他」の主要製品で構成される。直近2021年3月期第3四半期では売上収益25,956百万円の内、まいたけが15,020百万円で57.8%、エリンギが2,630百万円で10.1%、ぶなしめじが5,027百万円で19.3%、茸その他が2,886百万円で11.1%、セグメント外のその他事業が392百万円で1.5%を占める。セグメント別営業利益は公表されていない。
尚、同社はIFRSでIAS41(農業)を適用しているため、きのこ製品である生物資産の公正価値の変動による利益又は損失が営業収益の構成要素となる。収益合計は売上収益25,956百万円と公正価値変動による利得13,755百万円を合わせた39,712百万円、営業利益は7,098百万円であった。

事業モデル

主力のまいたけを中心に茸類を量産、小売店への直売を行う。まいたけは国内総生 産量の57%を占め、トップシェア。新潟県南魚沼市に生産拠点を有す。
独自開発の工業生産手法で、まいたけに加えてエリンギ、ぶなしめじ等の安定的な生産供給体制を持つ。茸類の品質管理や小売店への直売ルートも独自に有す。今後は既存の生産販売技術を活かして、本しめじやマッシュルーム等のプレミアム茸のシェア強化に注力。AIやロボティクスの実装により、生産工程の省人化を進めておりアグリテックの活用にも積極的である。親会社にコメ卸大手の神明ホールディングスを持ち、西日本での拡販を図る。
健康志向の高い消費者に訴求するため、株式会社Mizkanやセブンイレブンとのコラボ商品を企画。消費者との接点を増やし、新規需要の取り込みを狙う。
その他事業は、2020年2月にこれまで行っていたカット野菜と納豆の生産販売を終了し、規模縮小傾向にある。現在は外部委託で健康食品の製造販売、レストランや物産館の運営、子会社にて培地活性剤の製造販売を行う。
主力のまいたけは国内茸市場において、過去10年間で製品市場規模が73%増加

2021年3月期 第3四半期 決算説明資料

競合他社

国内で茸生産最大手1379ホクト株式会社(2020年5月期売上高71,220百万円)、水産練り製品国内2位でまいたけの生産も行う2904一正蒲鉾株式会社(同36,047百万円)などが競合として挙げられる。

連結の範囲

株式会社神明ホールディングスが親会社で同社が連結子会社に該当。瑞穂農林株式会社、株式会社きのこセンター金武、株式会社三蔵農林の3社が同社の連結子会社に該当する。瑞穂農林株式会社からは本しめじやはたけしめじの仕入れ、株式会社きのこセンター金武では沖縄地域でのぶなしめじの生産、株式会社三蔵農林ではマッシュルームの製造販売を行う。

強み・弱み

栽培が困難であったまいたけの工業生産化を世界で初めて実現し、ぶなしめじやエリンギなど他製品にも応用。独自の工業手法による、茸の安定生産、供給体制、直売ルートを確立している点は強み。本しめじやマッシュルームなどの高単価茸の生産企業へM&Aを実施。独自の生産供給体制や販路を活用したシナジー効果が期待できる。
懸念点としては海外市場への進出の出遅れが挙げられる。競合他社のホクト株式会社が台湾やマレーシアを中心に海外進出を積極的に進め、売上高全体の11%を海外売上で構成する一方、同社は国内販売が中心で、2020年3月期からの中期経営計画にて海外展開推進を掲げる。

KPI

同社は複数の茸製品を生産販売しており、製品別販売量、製品別単価、製品別市場シェア、製品別売上高構成比がKPIとなる。2020年3月期スタートの中期経営計画では、まいたけのトップシェア強化とマッシュルームやしめじのシェア確立を目指す。
①製品別販売量
②製品別単価
③製品別市場シェア
④製品別売上高構成比

2021年3月期 第3四半期 決算説明資料

業績

上場後の2期分の連結経営指標は営業収益6%増、税前利益5%増と増収増益基調。単体ベースで日本基準の過去業績では2016年3月期から2020年3月期にかけて売上高は約2.1倍、経常利益は3.1倍に拡大しており、ベインキャピタルによる経営再建の成果が見受けられる。営業CFはプラス、投資CFと財務CFはマイナスで推移。親会社所有者帰属持分比率は2021年3月期第3四半期時点で23.6%。