5304 SECカーボンの業績について考察してみた

5304 SECカーボンの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2024.Q3 2023.12 9,419 2,905 30.84%
FY2024.Q4 2024.03 11,097 2,444 22.02%
FY2025.Q1 2024.06 8,400 2,377 28.3%
FY2025.Q2 2024.09 7,984 2,201 27.57%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 3,943 -701 -17.78%
FY2018.Q1 2017.06 3,217 84 2.61%
FY2018.Q2 2017.09 3,842 36 0.94%
FY2018.Q3 2017.12 4,014 382 9.52%
FY2018.Q4 2018.03 5,179 519 10.02%
FY2019.Q1 2018.06 7,836 3,539 45.16%
FY2019.Q2 2018.09 9,199 3,773 41.02%
FY2019.Q3 2018.12 10,468 4,886 46.68%
FY2019.Q4 2019.03 10,432 4,729 45.33%
FY2020.Q1 2019.06 8,238 3,975 48.25%
FY2020.Q2 2019.09 9,585 4,057 42.33%
FY2020.Q3 2019.12 7,881 2,877 36.51%
FY2020.Q4 2020.03 9,432 2,914 30.89%
FY2021.Q1 2020.06 4,806 1,135 23.62%
FY2021.Q2 2020.09 5,394 1,198 22.21%
FY2021.Q3 2020.12 4,740 130 2.74%
FY2021.Q4 2021.03 6,359 618 9.72%
FY2022.Q1 2021.06 4,613 615 13.33%
FY2022.Q2 2021.09 5,152 686 13.32%
FY2022.Q3 2021.12 6,431 1,205 18.74%
FY2022.Q4 2022.03 6,723 716 10.65%
FY2023.Q1 2022.06 6,375 1,414 22.18%
FY2023.Q2 2022.09 6,143 930 15.14%
FY2023.Q3 2022.12 7,526 1,726 22.93%
FY2023.Q4 2023.03 10,357 2,420 23.37%
FY2024.Q1 2023.06 8,157 2,477 30.37%
FY2024.Q2 2023.09 8,634 2,391 27.69%
FY2024.Q3 2023.12 9,419 2,905 30.84%
FY2024.Q4 2024.03 11,097 2,444 22.02%
FY2025.Q1 2024.06 8,400 2,377 28.3%
FY2025.Q2 2024.09 7,984 2,201 27.57%

沿革

1934年10月にアーク炉用電極の製造を目的として、昭和電極株式会社を設立。1946年2月に人造黒鉛電極の製造を開始。1984年7月に株式会社エスイーシーに商号変更。同年11月に大証二部に上場。1986年12月にアルミニウム製錬用カソードブロックと特殊炭素製品の製造を開始。2006年10月にSECカーボン株式会社に商号変更。2013年7月に東証二部に上場、現在は東証スタンダード市場に区分。本社は兵庫県。アルミニウム製錬用カソードブロックで世界シェア4割超え

株主構成

2023年3月期第2四半期報告書によると、2022年9月30日時点の筆頭株主は黒鉛電極の販売先である大谷製鉄株式会社で19.5%、次いで販売先の8058三菱商事が9.6%、同じく販売先の8053住友商事が4.9%、その他は保有割合5%未満で公益財団法人大谷教育文化振興財団、代表取締役会長の大谷民明氏、株式会社三菱UFJ銀行、コーソ運輸工業株式会社、大和工業株式会社と続く。その他には取引先や国内金融機関が並ぶ。外国人株式保有比率は10%未満

取締役会

取締役は5名(社内4名、社外1名)、監査役4名 (社内2名、社外2名)、監査役会設置会社である。取締役の長谷川和重氏は8058三菱商事から同社への出向を経て、2021年6月に同社に入社して現職に就任した。取締役の田畑洋氏はプロパー出身で、2021年6月に現職に就任した。

代表取締役の経歴

代表取締役会長の大谷民明氏は1948年9月生まれ。千葉工商高等学校を卒業後、1969年5月に同社に入社。総務部に長年に渡り従事する。1993年6月に取締役、1997年6月に常務取締役、1999年6月に専務取締役、2005年6月に代表取締役社長を経て、2018年5月に現職に就任した。
代表取締役社長の中島耕氏は1964年3月生まれ。山口大学経済学部を卒業後、1986年4月に同社に入社。生産部門に長年に渡り従事する。2016年6月に取締役、2017年5月に常務取締役を経て、2018年5月に現職に就任した。

報告セグメント

「炭素製品の製造・販売」を主な事業とする単一セグメントである。製品別では、「アルミニウム製錬用カソードブロック」、「人造黒鉛電極」、「特殊炭素製品」、「ファインパウダー及びその他炭素製品」の4つに区分される。2022年3月期の売上高22,919百万円の内、アルミニウム製錬用カソードブロックが12,332百万円で53.8%、人造黒鉛電極が6,604百万円で28.8%、特殊炭素製品が3,040百万円で13.3%、ファインパウダー及びその他炭素製品が941百万円で4.1%を占める。
2022年3月期の経常利益は、3,779百万円で、経常利益率は16.5%。経常利益率は1桁台の期もあれば40%台の期もあり、期によって変動幅が大きい

事業モデル

電気製鋼炉向けの人造黒鉛電極やアルミニウム製錬工場の電解炉向けにカソードブロック等を製造・販売する。同社の京都工場で全製品の製造を行い、岡山工場で特殊炭素製品の加工を実施。
アルミニウム製錬用カソードブロックでは世界シェア4割を超え、トップシェアを誇る。同社はアルミニウム製錬用カソードブロック全体の黒鉛化に世界で初めて成功し、30年以上に渡って電気伝導性や耐熱衝撃性に優れた製品を供給する。アルミニウムの持つ軽量さやリサイクルの容易さから、自動車分野や新興国を中心とした建設分野でのカソードブロックや電極の更なる需要拡大を見込む
人造黒鉛電極はニードルコークスを原料に製造し、連結子会社の東邦カーボン株式会社にて販売する。主に電気製鋼炉で鉄スラップから鋼を製造する際に用いられ、太物電極に強みを持つ。
その他にはカーボンの持つ熱・電気伝導性や軽量性を活かして、特殊炭素製品やファインパウダー(高純度黒鉛粉末)を製造・販売する。特殊炭素製品は顧客のニーズに合わせて加工し、半導体分野や宇宙航空分野をはじめとする幅広い顧客向けに多品種の製品を提供する。ファインパウダーは主に自動車用塗料や電池の原料として用いられる。
海外売上高比率は65.2%で、アジア・中近東が26.0%、米国が17.3%、欧州が7.1%、その他が14.8%を占める(2022年3月期)。
主要顧客は8053住友商事で連結売上高の50.5%を占める(同)。

競合他社

黒鉛電極製造大手の5301東海カーボン (2021年12月期売上高258,874百万円) 、黒鉛電極や炭化けい素製品に強みを持つ5302日本カーボン (同31,578百万円)、等方性黒鉛で世界シェア3割の東洋炭素 (同37,734百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社1社と非連結子会社3社、持分法を適用しない関連会社1社を持つ。連結子会社の東邦カーボン株式会社では、人造黒鉛電極と特殊炭素製品及びその他炭素製品の販売を行う。

強み・弱み

強みとしてアルミニウム製錬用カソードブロックで世界トップシェアである点が挙げられる。同社ではアルミニウム電解炉で欠かせないカソードブロックで、世界シェア4割以上を獲得。アルミニウム製錬用カソードブロックのパイオニアとして、世界40か国以上に高品質の製品を供給する。
懸念点としては石油石炭等の原材料価格の変動リスクや、売上の6割以上を海外が占める点から為替変動リスクが挙げられる。

KPI

KPIには①設備投資額、②減価償却費、③研究開発費の他に、販売先のアルミニウム製錬メーカーの需要を測る基準として④LMEアルミニウム価格の推移や⑤鋼材価格・在庫の推移が挙げられる
①設備投資額(2022年3月期):502百万円(前期比▲68.2%)
②減価償却費(同):1,201百万円(前期比▲18.5%)
③研究開発費(同):260百万円(前期比+72.2%)
④LMEアルミニウム価格の推移
⑤鋼材価格・在庫の推移

業績

過去5期の売上高は、アルミニウム製錬メーカーからの更新需要が旺盛であった2019年3月期が最も多く、前期比+133.4%に大幅に増加。2019年3月期から2021年3月期にかけては、世界的な景気減速に伴うアルミニウム製錬メーカーの更新需要の低下や鉄鋼生産の減少が響き、▲43.9%に減少。2022年3月期は、LMEアルミニウム価格の上昇や人造黒鉛電極の需要回復を受けて前期比+7.6%に増加した。経常利益は2018年3月期から2019年3月期にかけて14.8倍に増益したものの、2021年3月期にかけて▲79.6%に減益。2022年3月期は、原料費の高騰を販売数量の増加や円安がカバーして前期比+8.2%の増益となった。フリーCFはプラスを推移。自己資本比率は80%台から90%台前半を推移する。

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