業績予想レポート 7353 KIYOラーニング

業績予想レポート 7353 KIYOラーニング

PERAGARUアナリスト

KIYOラーニングについて、今期及び来期にわたる業績予想について紹介する。同社は2008年10月に資格講座事業で創業し、2020年7月に東証グロース市場に上場している。スタディング事業と法人向け教育事業の2事業を展開しており、主力のスタディング事業が売上高全体の87.6%を占める

スタディング事業では、個人向けにオンライン資格講座「スタディング」を提供している。特徴的なのは、購入時に現金ベース売上を計上し、その後受講期間にわたって発生ベース売上として按分計上するビジネスモデルである。AIを活用した学習支援機能や生成AI活用の「AIマスター先生」など、テクノロジーを活用した学習効率の向上に注力している。直近では33講座以上のラインナップを有し、2.3万人以上の合格実績を上げている

法人向け教育事業では、企業向けにクラウド型eラーニングサービス「Air Course」を提供している。月額制のサブスクリプションモデルで、契約企業数は859社(2024年9月末時点)まで拡大。平均解約率は0.88%と低水準を維持しており、900以上の研修コンテンツを提供している。2023年12月には法人向け生成AIサービス「Air Course AIナレッジ」もリリースし、事業領域を拡大している。

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直近の決算は11月に開示された2024年12月期3Q決算であり、売上高は前年同期比18.3%増の33.5億円、営業利益は1.5億円となった。また通期業績予想を上方修正し、売上高44.5億円、営業利益2.0億円見込んでいる。2026年度までの中期経営計画では、売上高58〜64億円、営業利益3.5〜4.8億円を目標としている。

KIYOラーニング 業績予想(クリックで拡大)

上記が今回行った業績予想である。

スタディング事業はKPIとして発生ベース売上高と現金ベース売上高が四半期ごとに開示されており、四半期ごとの特性が明確に表れている。同社によると、1Qは当期の現金ベース売上高の75-85%、2Qは70-80%、3Qは40-50%、FYは15-25%が当期の売上高として計上されている。1Qは年初で資格取得マインドが最も高まる時期であり現金ベース売上高が高くなる一方で、広告投資が集中し、また前年からの受講期限終了に伴い発生ベース売上の積み上がりが低くなるため赤字となる傾向がある。2Qは試験日が少なく現金ベース売上高は低調だが、前期からの按分収益により発生ベース売上高は維持される。3Qは中小企業診断士や社労士、税理士などの難関資格試験が集中し、試験後の新規講座購入や更新版コースの購入により現金ベース売上高が増加するとともに、受講期限の終了も集中するため発生ベース売上高が最も多くなる。FYも同様に受講期限終了が多く、発生ベース売上高が高水準となる一方で、翌年度の試験に向けた講座購入が増える。これらの季節性を踏まえた上で、前期実績や今期3Qまでの実績を基に通期を予想した

法人向け教育事業は、契約企業数が2024年9月末時点で859社まで拡大し、平均解約率も0.85%と低水準を維持している。四半期ごとの契約企業数の純増は50社ペースで推移しており、この傾向が継続すると想定。加えて受け放題コースは引き続き拡充されており、既存顧客からの追加収益も見込める。これらを踏まえ、過去の成長トレンドと今期3Qまでの実績を基に通期を予想した。

なお、2023年11月に開始したスタディングキャリアや2023年12月開始のAir Course AIナレッジについては、立ち上げ段階のため今期業績への影響は限定的と見ている。

以上の予想と会社予想、四季報予想、コンセンサスとの比較を以下に示す。

会社予想、四季報予想との比較

我々の2024年12月期の業績予想は、売上高については会社予想・四季報予想と同水準を見込む一方、営業利益はそれらをやや下回る水準となった

今回行った予想ではFYにおいて広告宣伝費やその他費用の投下を多く見込んでいるが、これは同社が2026年度の中期経営計画達成に向けて来期予定の投資を前倒しで実施する方針を示していることを反映したものである。具体的には、広告宣伝費の増額による新規ユーザー獲得、人材採用の前倒し、その他来期予定費用の前倒し実行を計画している。なお、同社は高い利益率を持つ事業モデルを活かし、マーケティング投資による成長戦略を進めているが、今期は広告宣伝費の伸びを抑制しながらも売上増を実現するなど、広告効率は改善傾向にある。広告宣伝費に関しては、PERAGARUのCMデータを用いることで予測が可能である。

PERAGARUのCMデータ(10月中旬までのサンプルデータ)

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同社は2023年11月にスタディングキャリア、12月にAir Course AIナレッジをリリースしており、新規事業の展開を進めている。特にスタディングキャリアについては、スタディング事業の資格取得者基盤と法人向け教育事業の法人顧客基盤を活かしたマッチングが期待できる。両事業は現状では業績への影響は限定的とされているものの、今後のクロスセル効果により新たな収益の柱となることが期待される。投資判断を下す際にはこのような点を踏まえた上で慎重に判断する必要があるだろう。

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