ココナラの業績をオルタナティブデータを使って分析してみた

ココナラの業績をオルタナティブデータを使って分析してみた

PERAGARU管理人

レポート全文

4176 ココナラはスキルシェアのマーケットプレイス「ココナラ」弁護士と顧客のマッチングサービス「ココナラ法律相談」を運営している。2012年1月に株式会社ウェルセルフとして設立したのち、2014年に現在の商号に変更、2021年3月に東証マザーズに上場している。

ココナラの業績推移

ココナラの過去の業績をみるとトップラインが継続的に成長している一方で慢性的な赤字経営に陥っている。同社の概要についてはこちらで紹介している。
直近の決算発表は10月14日で、FY22通期業績とFY23のガイダンスが公表されており、リオープニングによる反動で流通高および営業収益の伸びは鈍化すると想定されている。
今回はココナラのFY23/8月期の第1四半期の業績について予測をする。
業績予測のうえで用いるKPIは「ココナラ」ではUU数(サービスを利用したユニークユーザー数)、一人当たり購入金額、テイクレート、GMVであり、「ココナラ法律相談」では有料登録弁護士数、ARPPU(課金ユーザー1人当たりの売上額)である。
弊社オルタナティブデータを用いることにより、「ココナラ」のGMVと「ココナラ法律相談」の有料登録弁護士数を推定することが出来る。このことを踏まえて行った分析を以下の表にまとめている。

ココナラのPL予測
ココナラのPL予測

第1四半期は11月末までなのでまだ確定値ではないものの、弊社オルタナティブデータによれば「ココナラ」のGMVはQonQで初めて減少していることが読み取れた。GMV減少の要因を弊社ではUU数の減少によるものとみており、競合他社のサービス台頭に伴い今後も同社のビジネスに陰りをもたらすのではないかと考えている。
「ココナラ法律相談」については有料登録弁護士数の数が足元で堅調に推移し、単価も徐々に上昇しており、今後もしばらくはこのトレンドが継続するものとみている。
営業費用については、広告宣伝費投下のタイミングが重要だろう。特にテレビCMを除くNon-GAAP営業利益については黒字であるためテレビCMの有無が損益分岐点となっていることが分かる。

ココナラのCMデータ

テレビCM広告を打っているかどうかについては上記のオルタナティブデータ(※1)を用いることで判別が可能だ。FY23/1Qにあたるのは10月~の山の部分であり、おおよその費用も計算が可能だ。このデータを参考に営業費用を予測し、以下当期純利益までを予想している。以上、弊社の予想ではFY23/1QではYoYで改善はしつつも依然として赤字を抜け出せない結果となった。また「ココナラ」のGMVがQoQで上場後初の減少となれば、市場にはネガティブサプライズとなるのではないだろうか。まだ第1四半期は半月残されているためトレンドが変わる可能性はありつつも、同社の次回決算の内容は厳しいものになるのではないかと弊社では予想している。

※1 テレビCMについては、テレビ番組やCMの放送内容をテキスト化した「TVメタデータ」を生成する株式会社エム・データの「テレビCM放送実績データ」を基にしている。エム・データではCMデータの他、テレビ番組での企業に関するニュースや話題も網羅的にデータ化し、証券コードを付与しはじめている。
https://mdata.tv/

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