5011 ニチレキの業績について考察してみた

5011 ニチレキの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1943年10月にアスファルト防水工事およびアスファルト製品の提供を目的として、東京都に日本瀝青化学工業所設立。1969年1月、系列会社の統合による経営・事業の合理化を目的に、株式会社日瀝を存続会社として4社対等合併を行い日瀝化学工業株式会社となる。1994年10月にはニチレキ株式会社に商号変更。1970年1月東証二部上場、1974年2月同一部へ市場変更、2022年4月からは同プライム。道路舗装工事などに用いられるアスファルト乳剤では国内トップシェアを誇る。

株主構成

有価証券報告書によると、2022年3月末時点の筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行株式会社信託口で12.19%保有。次いで光通信株式会社が5.50%保有。以下は5%未満の保有率で、持株会、国内の金融機関、創業者の池田英一氏の寄付によって設立された公益財団法人池田20世紀美術館が続く。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は12名(社内8名、社外4名)、監査役は4名(社内2名、うち1名は常勤、社外2名)、監査役会設置会社である。社内取締役は全員プロパー。社外取締役には公認会計士、弁護士、中小企業診断士が就任。

代表取締役の経歴

代表取締役は2名。代表取締役社長の小幡学氏は1956年12月生まれ。日本大学卒業後、1982年4月に入社。上席執行役員、取締役常務などを経て2015年6月より現職
代表取締役副社長の川口裕司氏は1958年3月生まれ。1980年4月に入社。執行役員、専務取締役などを経て2022年6月より現職

報告セグメント

「アスファルト応用加工製品事業」、「道路舗装事業」の2セグメントで構成される。2022年3月期の売上高78,001百万円の構成比は、アスファルト応用加工製品事業33.1%、道路舗装事業66.5%、その他0.4%であった。その他には、報告セグメントに含まれない不動産賃貸業、損害保険代理事業等が該当。また、同期の調整前セグメント利益11,822百万円の構成比は、アスファルト応用加工製品事業55.8%、道路舗装事業42.3%、その他1.9%となった。調整額は▲3,256百万円。国別売上高は、日本国内が90%を超える。

事業モデル

アスファルト応用加工製品事業は、アスファルト乳剤、改質アスファルト等の製造・販売を行う。従来型のアスファルトは施工に際し加熱による液状化工程を要するが、これを常温で施工可能となるよう改質したアスファルト乳剤が主力製品で、同社のシェアが38.1%と国内トップである。
道路舗装事業は、舗装工事および防水工事等の請負を行う。舗装工事に関しては、舗装のみではなく、ITを活用した道路・舗装維持管理システムを構築、様々な調査計測機器も保有し、管理までを一貫して行う。防水工事、特に橋面防水に関してはパイオニア。同社の前身が屋根の防水施工を事業としていたため橋面防水の独自のノウハウを有するとともに、新素材も積極的に開発
顧客層は、国・地方自治体から社会インフラに携わる民間企業まで幅広い。豊富な技術力を生かし、一般的な道路のみならず、三内丸山遺跡(青森県)の路面舗装なども施工。高い技術力と適応力によって、高耐久性と景観に合わせた意匠を両立。
道路インフラの老朽化が進行する中、老朽化対策工事をはじめとした公共投資は堅調に推移。一方で、原材料となるストレートアスファルトや原油の価格上昇に円安も加わり、生産コストは上昇傾向。

2022年3月期 通期決算説明会資料 p.9-10

競合他社

アスファルト乳剤を主力とする点では、1882東亜道路工業 (株)(売上高112,118百万円)が競合するほか、日進化成(株)(非上場、売上高10,100百万円)も競合し得る。道路舗装事業に関しては、建設事業及び舗装資材の製造販売等を行う1898世紀東急工業(株)(売上高85,132百万円)なども競合の可能性あり。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社35社、関連会社5社(うち持分法適用関連会社1社)で構成される。主要子会社は、道路舗装工事の請負を担当する日瀝道路株式会社、日レキ特殊工事株式会社、朝日工業株式会社である。エリア経営体制のためエリアごとに子会社を持ち、これらが実際の工事を担当する。

強み・弱み

工法の提案から工材生産、施工までの舗装工事における全段階をグループ内で対応可能な点が強み。また、舗装工事に必要不可欠なアスファルト乳剤の生産でも国内トップシェアを誇る。一方、公共工事の受注が事業の中心をなすため、国や地方自治体の政策転換などは外的リスクとなる。昨今の原油高ならびに円安は、生産コスト上昇の要因となり得る。

KPI

受注実績が主要KPIと見られる。
受注高(2022年3月期)
・アスファルト応用加工製品事業:25.909百万円(前期比+24.9%)
・道路舗装事業:55,608百万円(同上+0.6%)
受注残高(2022年3月末)
・アスファルト応用加工製品事業:304百万円(前期比▲13.1%)
・道路舗装事業:8,027百万円(同上▲10.9%)

業績

2012年3月期から2022年3月期までの10年間で売上高を1.5倍、経常利益を3倍へ拡大するなど好調を維持。公共工事主力のため新型コロナウイルス感染症の影響は軽微で、感染拡大後も売上を伸ばす。2022年3月期は売上高78,001百万円(前期比+9.1%)、営業利益8,566百万円(同▲6.3%)、経常利益9,311百万円(同▲2.8%)であった。なお、同期より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を適用しているため、売上高の前期比は参考値。営業CFは恒常的にプラス、投資CFは恒常的にマイナス。2023年3月期第1四半期の自己資本比率は81.6%。