5011 ニチレキの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1943年10月、アスファルト防水工事およびアスファルト製品の提供を目的に、東京都で日本瀝青化学工業所として設立された。ニチレキの前身は屋根の防水を行う会社で、その技術を応用させた橋面防水の分野では1959年から取り組んできたパイオニア。1969年1月、系列会社の統合による経営および事業の合理化を目的とし、株式会社日瀝を存続会社として4社対等合併を行い、社名を日瀝化学工業株式会社に変更。1994年10月にニチレキ株式会社に商号変更。1970年1月東証二部へ上場、1974年2月東証一部へ変更。道路舗装工事などに用いられるアスファルト乳剤でトップシェア(日本の約4割)を誇る。

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末日時点の筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行株式会社で6.62%の保有。その他は5%未満の保有で国内外の信託銀行等の信託口などが多い。ニチレキ取引先持株会4.58%、みずほ銀行3.87%、三井住友信託銀行3.84%、光通信2.98%、公益財団法人池田20世紀美術館2.20%の併せて17.47%は安定株主とみられる。外国人株式保有比率は10%以上20%未満。池田20世紀美術館は同社の創業者である池田英一氏の寄付によって伊東に設立された本格的な現代美術館。

取締役会

取締役は9名(社内7名、社外2名)、監査役は4名(社外2人、1名は常勤)、監査役会設置会社である。社内取締役のうち副社長の高橋保守氏以外は、社長も含めて6名全員が1980年~1983年入社のプロパー出身とみられ60歳代半ば

代表取締役の経歴

代表取締役社長の小幡学氏は1956年12月生まれ。日本大学を卒業後、ニチレキ株式会社に入社。2015年6月からの代表取締役社長執行役員社長を経て2020年6月より現職に就任。
代表取締役副社長の高橋保守氏は1951年11月生まれ。2003年4月にみずほコーポレート銀行を退職後、同社へ顧問として入社し直後より取締役に就任。

報告セグメント

「アスファルト応用加工製品事業」、「道路舗装事業」の2報告セグメントに大別され、いずれにも含まれない不動産賃貸業、損害保険代理事業を「その他」としている。2021年3月期第3四半期のセグメント間取引調整前の売上高54,770百万円の構成比はアスファルト応用加工製品事業42.3%、道路舗装事業57.2%、その他0.5%である。利益構成は、アスファルト応用加工製品事業59.3%、道路舗装事業37.8%、その他2.9%と、アスファルト応用加工製品事業の利益率が高い。

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事業モデル

アスファルト応用加工製品事業は、アスファルト乳剤、改質アスファルト等の製造・販売を行う。アスファルトは加熱によって液状化し使用可能となるが、常温で取り扱えるように工夫したものをアスファルト乳剤と呼び、同社HPによると日本のアスファルト乳剤は約38.1%がニチレキ製でトップシェアである。
道路舗装事業は、舗装工事および防水工事等の請負を行う。舗装工事に関しては、舗装のみではなく、ITを活用した道路・舗装維持管理システムを構築、様々な調査計測機器も保有し、管理まで一貫して行う。防水工事、特に橋面防水に関してはパイオニア。同社の前身が屋根の防水を行う会社だったということもあり、橋面防水の独自のノウハウを有し、新素材の開発も積極的に行っている。
顧客は、国・地方自治体から社会インフラに携わる企業まで幅広い。豊富な技術力を生かし、道路だけではなく、青森県三内丸山遺跡の路面舗装なども施工。高い耐久性を持ちながら、遺跡に合わせた雰囲気に仕立てた舗装技術からは、技術の高い汎用性と適応力が伺える。
北海道から九州まで全国に48事業所と宮城県仙台工場、栃木県小山工場及び研究施設、千葉県の工場、愛知県の工場、大分県の工場の5工場を擁す。海外は2002年の現地子会社を設立を皮切りに、中国6社とシンガポール1社の関係会社で研究開発や工場も展開し、舗装工事や防水工事等の請負を行う。海外売上高比率は10%未満のため開示がない。
道路インフラの老朽化が着々と進む中、老朽化対策工事をはじめとした公共投資は堅調に推移。しかし、主原材料のストレートアスファルトや副資材の原料となる原油価格が上昇傾向にあり、製品販売価格への転嫁の是非もあり受注競争は激化傾向にある。

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競合他社

アスファルト乳剤では、同社同様に最大手を謳う1882東亜道路工業 (2020年3月期売上高109,123百万円)や、非上場企業の日進化成株式会社 (同101億円、会社HPより)などが挙げられる。道路舗装事業では舗装・土木を主とする建設事業及び舗装資材の製造販売等を行う1898世紀東急工業(同78,631百万円)なども競合となりうる。

連結の範囲

連結子会社は34社である。このうち主要な子会社は同社の製品購入および道路舗装工事の請負をする、日瀝道路株式会社、日レキ特殊工事㈱株式会社、朝日工業株式会社である。エリア経営体制のため、エリアごとの子会社を複数擁し、各社が道路舗装工事の請負を行う

強み・弱み

道路建設における、補修や工法の提案を行うコンサルティング会社や設計会社、材料メーカーや施工会社などのあらゆる会社に横断する役割を一社で担うことが出来るのが強み。また、日本の道路舗装工事現場で必須の薬品、アスファルト乳剤のシェア日本一を誇るのも強み。対して、公共事業が中心の為、公共事業政策と原油価格をはじめとする資材価格の動向による業績影響が大きいのが弱み。

KPI

道路舗装工事の受注件数や受注金額といった入札状況、原油価格・為替の変動に伴うストレートアスファルト及び副資材の仕入価格販売価格への転嫁状況がKPIとなるがいずれも開示はない。

業績

中長期では、営業利益率が2010年3月期以降は5%を上回る水準で維持されておりそれ以前と比較して改善傾向にある。売上高は震災や気象災害の復興需要などの影響をうけ、利益面は原油価格と為替の影響を受けやすく、いずれも中長期で変動がある。2016年3月期から2020年3月期の直近5期間は概ね右肩上がりで推移し売上高・経常利益共に1.4倍となった。なお、会社予想では、2021年3月期も増収増益で営業利益率の一層の改善が図られる見通しである。自己資本比率は2020年3月期73.9%と、内部留保の蓄積により過去最高水準となった。恒常的に営業CFはプラスで投資CFはマイナス。