1515 日鉄鉱業の業績について考察してみた

1515 日鉄鉱業の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1939年5月に石炭・鉄鉱石・石灰石等の製鉄原料の総合開発と確保を目的として、株式会社日本製鐵の鉱山部門が独立し、同社設立。主な事業として、国内外の地下資源の開発、非金属・非鉄金属鉱山での安定生産及び安定供給を行う。他、環境対策商品の販売、賃貸事業及び不動産販売、自然エネルギーの開発を行う。1954年3月東証一部へ上場。

株主構成

有価証券報告書によると2020年9末時点の大株主は、同社の起源である日本製鉄株式会社が14.88%、公益財団法人日鉄鉱業奨学会が7.71%、日本マスタートラスト信託銀行株式会社が5.82%。以下は5%未満で、国内外の信託銀行の信託口や、銀行、同社関連団体が名を連ねる。外国人株式保有比率は20%以上30%未満

取締役会

取締役は8名(社内6名、社外2名)、監査役は4名(社外2名、2名は常勤)、監査役会設置会社である。社内取締役は全員プロパー出身者と見られる。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の森川玲一氏は1962年5月生まれ。慶応義塾大学を卒業後、1986年4月に同社へ入社し、取締役を経て2021年3月より現職に就任。

報告セグメント

資源事業の「鉱石部門」と「金属部門」、「機械・環境事業」、「不動産事業」、「再生可能エネルギー事業」の5報告セグメントに大別され、2020年3月期第3四半期の売上高89.341百万円の構成比は鉱石部門43.9%、金属部門43.1%、機械・環境事業10.3%、不動産事業2.4%、再生可能エネルギー事業1.6%である。セグメント別利益は、鉱石部門57.6%、金属部門15.0%、機械・環境事業8.3%、不動産事業14.9%、再生可能エネルギー事業4.2%であった。

事業モデル

売上高の8割以上を占める主要セグメントの資源事業は、石灰石を主力商品として扱う鉱石部門と、金属部門からなる。鉱石部門では、全国各地の石灰石鉱山において、石灰石を採掘し、国内の鉄鋼メーカーやセメントメーカーなどに販売、一部はオーストラリア・台湾等の海外へも輸出する。また、鉱物資源を活かした商品開発にも取り組んでおり、難燃性建材や断熱ボード用途等に広く利用されている無機質紙などを提供する。金属部門では、銅鉱山の開発・操業を行う。昭和50年のイラン・イスラム共和国カレザリ銅鉱山の開発をはじめとして、南米コロンビア共和国エル・ロブレ銅鉱山の開発、そして現在は南米チリ共和国にてアタカマ銅鉱山などを手掛ける。
2020年7月時点における独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の市場見解では、新型コロナウイルス感染症の影響が12か月以上継続した場合、鉱物需要は6.5%~8.5%減少するとしている。元々、鉱物物資価格や需給の変動といった外部要因に大きく影響を受けやすい非鉄金属業界にとって、新型コロナウイルス感染症は重大なリスクとなりうる。

競合他社

非鉄金属業界において、売上高が同規模程度の競合先は、5507東邦亜鉛、5857アサヒホールディングスが挙げられる。この他にも大小さまざまな先と競合するが、主力商品である石灰石は日本一のシェアを有している。

連結の範囲

連結子会社は23社、持分法適用会社は1社である。国内で20社、海外で3社。このうち主要な子会社は石灰石の採掘・販売を行う八戸鉱山株式会社、地質調査・建設コンサルタント行う日鉄鉱コンサルタント株式会社である。

強み・弱み

鉱山を自社で所有する数少ない日本企業として、石灰石の発掘を行い、日本一のシェアを有する点が強み。また、そこで得たノウハウを生かして海外でも投資だけではなく、鉱山を所有し、採掘も行う点も強みである。同社グループ売上高の23.3%を占める石灰石の約半量は海上輸送に頼る為、台風などの自然災害によって輸送への支障がでる点は弱み。また、銅価、為替、金利水準が大きく業績を左右するほか、主力生産品である石灰石は鉄鋼・セメント需要に依存している点も弱みとされる。

KPI

2021年3月期第3四半期報告書におけるKPI実績は下記。
①資源事業 鉱石部門 売上高 373憶7千2百万円(前年同期比▲10.0%)
②資源事業 金属部門 売上高372憶1千6百億円(前年同期比+4.9%)
③機械・環境事業 売上高 83憶7千3百万円(前年同期比▲4.6%)
④不動産事業 売上高 21億円2百万円(前年同期比▲0.3%)
⑤再生可能エネルギー事業 売上高 1憶1千7百億円(前年同期比▲8.0%)

業績

外部要因の影響を大きく受ける鉱石業界の為、毎年の売上高は一定の上下幅で変動するも、その売上高は均して見れば安定している。ただ、新型コロナウイルス感染症の影響が如実に表れる以前の2020年3月期から現在にかけて減収となっており、以降も減収は続くと予想されている。営業利益は、概ね売上高に比例し増減する。営業キャッシュフローは2015年の19,811百万円をピークに下落傾向である。対して、現金・現金等価物は2014年3月期の11,539百万円から右肩上がりで増加しており、2020年3月期には14年から約3倍の33,484百万円まで増加している。自己資本比率は2011年3月期以降から、安定して50%以上を保持しており、2020年3月期に関しては57.5%となっている。