業績予想レポート 7062 フレアス

業績予想レポート 7062 フレアス

PERAGARUアナリスト

フレアスについて、今期及び来期にわたる業績予想について紹介する。同社は2000年7月に訪問マッサージ事業で創業し、2019年3月に東証マザーズ(現グロース)市場に上場している。マッサージ直営事業、マッサージフランチャイズ事業、施設系介護サービス事業、その他事業の4事業を展開しており、主力のマッサージ直営事業が売上高全体の約58%、マッサージFC事業は約14%,施設系介護事業は約22%,その他事業は約6%を占める。

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マッサージ直営事業では、在宅療養者を対象に、医師の指示・同意に基づいて、在宅マッサージ(医業類似行為)を提供している。利用者からの自己負担金と健康保険からの療養費で収益を上げている。あはき療養費改定による施術単価増や、高齢化社会の進展に伴う需要増加により、今後も成長が期待できる分野である。マッサージフランチャイズ事業は、マッサージ直営事業で培ったノウハウをフランチャイズ方式で展開している。加盟店からのロイヤリティ収入が主な収益源となる。FC加盟店数の増加と各店舗の売上高増加により、安定的な成長が見込まれている。施設系介護サービス事業では、看護小規模多機能型居宅介護施設とホスピス(医療特化型療養施設)を運営している。介護保険制度下でのサービス提供料が主な収益源となる。高齢化社会の進展に伴い、需要の増加が見込まれる分野であり、今後の成長ドライバーとして期待されている。その他事業では、訪問看護や訪問介護サービスを提供している。これらのサービスは、同社の総合的な在宅ケアサービスの一環として位置付けられている。

直近の決算は8月に開示された2024年3月期1Q決算であり、マッサージ直営事業を中心に成長し、増収増益で着地した。

フレアス 業績予想(クリックで拡大)

上記が今回行った業績予想である。

マッサージ直営事業はKPIとして累計利用者数と利用者1人当たりの月間利用回数が開示されている。これらからかQ毎の累計利用回数を求め、マッサージ直営事業売上高を割ることで1回当たりの利用単価を求めている。24年6月1日から、あはき療養費が改定され、マッサージ1局所(最大5局所)につき100円の値上げとなり、1Qでは利用単価がYoYで4%増加したため、2Q-4Qは12%の増加を見込んでいる。累計利用者数はコロナ禍で大幅に減少したが、ここ数年は回復傾向にあり、24年3月期はコロナ禍前の水準まで戻る見通しである。施術者1人当たりの1日の施術回数はここ数年増加傾向にあり、加えて従業員数も微増しているとのことだが、拠点数は21年3月期から10店舗減少しており、マッサージ直営事業の拠点数を増加させる方針ではないことから累計利用者数の大幅増加は考えにくいため2Q-4Qは1Qと同水準の約5%の増加と置いた。また同社によると、現時点で施術師生産性に余裕があるため、営業活動強化によって2026年3月期以降も利用者増を目指すとのことだ

マッサージFC事業は、FC加盟店数の順調な増加に加え、あはき療養費改定によるFC加盟店一拠点当たりの平均ロイヤリティ増加も期待できるため過去の傾向を基に売上高を決定した。

施設系介護事業は看護小規模多機能型居宅介護事業、ホスピス事業共に拠点数を増加させ、売上高は増加しているが、新規開設による費用が先行し大幅な減益となっている。施設系介護事業において現在稼働している店舗はすべて建て貸し方式となっており、土地オーナーが建築を行い、同社が賃借する形になるため建築コストは発生しないが、備品は同社で購入する形となり1拠点当たり15-20百万円になるとのことだ。この点を踏まえ、同社の出店予定に伴いモデルを作成した。またKPIとして各事業拠点の稼働率が月毎に開示されており、同社によると稼働率が65%以上であると黒字化するとのことだ

その他事業は売上高、営業利益ともにここ数年横ばいであり、同社からの新規投資の方針も示されていないため過去の傾向や月次の売上データを基に売上高を置いた。

以上の予想と会社予想四季報予想との比較を以下に示す。

会社予想とPERAGARU予想、四季報予想との比較(クリックで拡大)

我々の予想では2024年3月期の予想は売上高、経常利益ともに会社予想、四季報予想を下回り弱気な予想となった。これはマッサージ直営事業における、累計利用者の増加率と利用単価の増加率が会社予想を下回ることが一つの大きな要因として推測できる。

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同社は中期経営計画において、ホスピス事業の成長戦略について言及しており、現状では業績に与える影響は軽微とされているものの、今後はマッサージ事業とのクロスセル等により新たな収益の柱となることが想定されるため期待が持てる。同社の中期経営計画によると、2027年3月期までにホスピス事業を含む施設系介護サービス事業の売上高構成比を62.9%まで引き上げることを目標としており、事業の急速な成長を見込んでいる。また、全国400店舗のマッサージ事業ネットワークを活用した営業展開や、「時間の価値の最大化」を重視した独自のサービス提供により、他社との差別化を図っている。さらに、高齢者人口が多く医療資源が少ない東日本エリアを中心とした戦略的な出店計画や、小規模から中規模の施設運営による高稼働率(85%以上)の実現など、効率的な事業拡大を目指している。またマッサージ直営事業において、一部の同業他社による不適切な健康保険請求が指摘される可能性があり、業界内で大規模な不祥事として表面化した場合、コンプライアンスの徹底と透明性の高い経営を行うフレアスを選択する患者が増加する可能性がある。投資判断を下す際にはこのような点を踏まえた上で慎重に判断する必要があるだろう。

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