8月8日に発表されたゼロの2024年6月期通期決算を受けて業績予想のアップデートを行った。
まずゼロが発表した実績値と我々の予想の差異について確認していく。(4Q単体数字比較)
売上高は-1%と四半期単体では実績に対して同水準の着地となったが、営業利益については-50%と実績に対して大幅にマイナス方向に乖離する結果となった。これは顧客の方針転換により、CKD事業で大幅な減損損失が出たことで、海外関連事業の営業利益を194百万円と予想していたが、-600百万円となったことが要因である。
国内自動車関連事業については、受託台数の回復、価格改定の浸透により全四半期に引き続き売上高はYoYで+14%の増加となった。ヒューマンリソース事業については、新規契約獲得、派遣人材の増員によって引き続き増収増益となった。一般貨物事業については、前四半期で川崎複合物流センターにおける火災損失で赤字となったものの、今期は回復している。海外関連事業については、引き続き円安を背景とした中古車輸出が好調でこれまでの東南アジアに加え中国を中心に新規顧客の獲得が進行し、売上高やYoYで+10%の増加となったが、株式会社SUBARUがこれまでASEAN域内で行っていたCKDによる現地製造を日本からの完成車輸出に方針転換し、同社CKD事業の廃止が決定したことで一時的に損失が計上されている。
今回の決算開示を受け、業績予想モデルの更新を行ったので紹介する。変更した点は以下である。
- 海外関連事業の売上高の成長率、営業利益率を前回のモデルではそれぞれ約10%,1.8%と置いていたが、YoYで-1%,%と修正を加えた。これは円安を背景とするマレーシアを中心とした中古車需要が来期は一服することを前提としたからだ。
今後については、今回の決算と同時に開示された中期経営計画書の中で、新たな取り組みや事業環境の変化などについて言及されており、特に国内自動車関連事業における「物流の2024年問題」の対応について期待される。投資判断を下す際にはこのような点を踏まえたうえで慎重に判断する必要があるだろう。