3186 ネクステージの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

ネクステージの事業概要

同社は1998年12月に輸入車販売を目的に有限会社オートステージヒロタとして広田靖治氏によって愛知県尾張旭市北本地ヶ原にて設立された。2000年12月にオートステージ1号店(現UNIVERSE名東店)を名古屋市名東区にオープン。2013年9月に東証マザーズ上場、2015年1月に東証一部に市場変更を果たした。2019年4月には、輸入車専門店オートステージ全店をUNIVERSEへブランド統一を行った。
同社の大株主としては、株式会社SMN(33.2%)、日本トラスティ信託口(7.2%)、JPモルガン・チェース・バンク(6.9%)、広田氏 (5.1%)が挙げられる。同社の大量保有報告書を見ると、株式会社SMNの代表取締役が広田貴子氏であると記載されており、ネクステージ代表取締役である広田靖治氏の近親者ではないかと思料される。当該事項を考慮すると、広田家(株式会社SMNと広田靖治)の持分比率は38.3%となり、影響力の大きさが読み取れる。広田氏は1973年7月生まれで、1998年12月には同社を設立している。
同社の役員は1名おり、取締役8名と監査役3名で構成されている。取締役は自動車業界出身者6名、総合商社出身者1名、小売業界出身者1名で構成されており、自動車業界出身者の影響力の高さが読み取れる。
同社の報告セグメントは「自動車販売及びその付帯業務」の単一セグメントとなっており、ASAP社、NEW社、Ai社の3社を連結子会社としている。自動車販売事業として中古車販売事業、新車販売事業、整備事業、保険代理店事業、自動車買取事業及び自動車出張買取事業、その他事業としてカーコーディング事業を行っている。同社の2019年11月期の売上高は219,200百万円であるが、中古車販売による売上高が151,800百万円(構成比率69.25%)、車両買取事業のオークションによる売上高は333,000百万円(構成比率15.19%)、新車ディーラー事業売上高265,000百万円(構成比率12.09%)であり、中古車販売が同社の中核事業であることが読み取れる。


2020年12月時点での同社の時価総額は772億円となっており、同時期の競合であるカーチス社(7602)は57.8億円、IDOM社(7599 ガリバーとして認知度が高い。)は578億円、BIGMOTOR社は未上場、ケーユーホールディングス社(9856)は351億円である。

中古車販売事業

同事業は、車両の販売から整備、買取という車両販売に関するビジネスサイクルをワンストップで行う「総合店」と地域NO.1戦略を展開するべく「S U V」というカテゴリに特化した大型専門店「S U V LAND」及び大型中古輸入専門店の「UNIVERSE」を軸にした店舗展開を行っている。「総合店」は、1拠点当たりの収益性を高めること、顧客との生涯取引を通じて高い収益性の店舗を作ることが主な目的であり、綺麗な店構えと路面認知を意識した出店と徹底した仕入管理によりお手頃な価格、高年式、低走行かつ豊富な品揃えを実現することにより集客を行い、徹底した社員教育と整備設備・サポート体制の充実によって高い成約率を実現し、販売後の定期連絡や定期点検を行うことにより高い信頼性と次への買替誘致までを一貫して行える店舗となっている。また、「SUV LAND」は、「SUV」というカテゴリに特化した店舗展開であり、「UNIVERSE」は、「輸入車」というカテゴリに特化した店舗展開である。地域NO.1の品揃えを実現することによって集客を行い、「カテゴリ」に絞った社員教育を行うことで、より高い専門的知識を備えたスタッフが販売活動を行うことにより、高い成約率の実現を可能にしている。
同社の店舗数について、2015年11月期は56軒であったものの、2019年11月期には130軒と2倍以上に増加している。また、同社は決算説明資料内で新卒採用を積極的に行う方針を示しており、2015年11月期に従業員数は646名であったが、2019年11月期には2,731名となっている。2019年11月期の新卒採用人数は562名であり、2020年11が月以降も継続して500名前後の新卒採用を行う方針としている。
同事業のビジネスモデルは中古車を買い取った後に、一定のマージンを乗せて顧客に販売するという仕組みである。商材が車であるため原価が高く、ネットで購入するユーザーもまだまだ少ないため人件費を割いて販売する必要性が高いビジネスモデルとなっており、2015年11月期から2019年11月期の営業利益率は2.0%〜2.9%となっている。他の業界と比較して変動費に対する固定費の割合が高く、営業利益率の大幅な上昇が期待しづらいことが予想でき、事業拡大のためには営業利益率を落とさないように店舗数を拡大して適切な人材を配置する戦略が王道ともいえるだろう。売上高を増加させるために必要な「販売台数」、これを増加させるために必要な「店舗数」や「従業員数」等の指標が、同事業によって生み出される利益を予想するために重要であるといえるだろう。

ネクステージの財務状況と経営指標

同社の売上高について、2015年11月期の63,113百万円から右肩上がりに増加を続けており、2019年11月期には219,263百万円を記録した。2020年11月期第3四半期売上高は178,716百万円であり、前年同期比110.9%、通期計画進捗率72.9%となっている。当該売上高は第3四半期で過去最高であるが、新規店舗の出店が大きな要因となっている。
同社のキャッシュ・フローを見ると、2015年11月期以降の営業CFは2015年11月期の975百万円を除いて全てマイナスとなっており、2019年11月期には▲9,213百万円を記録した。2015年11月期以降の投資CFは総じてマイナスであり、2019年11月期には▲10,822百万円を記録した。2015年11月期から2019年11月期までのフリー・キャッシュ・フロー(営業CF+投資CF。以下、FCFと表記。)合計は▲36,435百万円となっており、投資に積極的な姿勢に加え、投資が未だ回収できていないことが読み取れるだろう。2015年11月期以降の財務CFは毎期プラスであり、2018年11月期は19,359百万円、2019年11月期には14,572百万円と、決して少なくない金額のプラスとなっている。2019年11月期の財務CFの内訳を見ると、短期借入金の純増減額3,804百万円、長期借入による収入8,000百万円、長期借入金の返済による支出▲2,763百万円、株式の発行による収入5,903百万円となっており、借金で60%、増資で40%の資金が増加していることが読み取れる。2018年11月期の財務CFの内訳を見ると、短期借入金の純増減額2,802百万円、長期借入による収入18,485百万円、長期借入金の返済による支出▲1,776百万円であり、資金増加の大半を借金で賄っていることが読み取れる。同社の有利子負債自己資本比率は157.60%であるが、競合のカーチスは3.58%、IDOMは217.99%、ケーユーホールディングスは30.03%であり、ネクステージの借入はバランスシート(以下、B/Sと表記)を圧迫していると読み取ることができるだろう。また、同社の流動比率(流動資産÷流動負債×100)は216.99%であり、望ましいとされる200%を上回っているが、当座比率(当座資産÷流動負債×100)は78.36%と、望ましいとされる100%を下回っている。B/Sに占める有利子負債の大きさや、営業CFのマイナスが続いていること等を考慮すると、同社はすぐに資金繰りに行き詰まる状況ではないものの、営業CFのマイナスがあまりに長く続いた場合は資金調達に奔走する状況が生まれる可能性があるといえるだろう。ここで、営業CFの内訳をみてみると、2019年11月期において最もマイナスの大きい項目はたな卸資産の増減額▲15,567百万円であり、2018年11月期も同項目が▲7,063百万円となっている。同社のビジネスモデルから鑑みるに、同項目の大半は中古車であると考えられるため、中古車を大量に仕入れて販売していない中古車が多数存在することが、同社の営業CFをマイナスにしている要因であるとわかる。2015年11月期以降の営業利益は総じてプラス(商品や仕掛品は個別法による原価法によって計算されており、これは貸借対照表価額を収益性の低下に基づく簿価切下げの方法であるが、販売しない限り売上原価として損益計算書には反映されておらず、キャッシュ・フロー計算書にはたな卸資産増加分がマイナスとして計上されるため、営業CFがマイナスかつ営業利益がプラスという状況が起きていると予想される)であることから、最終的に在庫となっている中古車を販売できれば大きな問題とはならないといえるだろう。

ネクステージのカタリスト

同社のカタリストとして、新規出店戦略が筆頭に挙げられるだろう。中古車を販売するためには多額の原価・販管費を要するため、事業全体の成長を目指す場合は新たに出店する戦略を取る以外の選択肢が少なく、決算説明資料内でも新規出店増加への意欲が表明されている。また、同社は2013年に上場を果たしてから、積極的に投資を行い、中古車の仕入れも増加している。「中古車販売の需要のある地域に出店できるか」、「競合より優れた人材を採用・育成できるか」、「日常的な販売目標を達成できるか」などの指標の良否は同社の業績や株価を予測する上で重要であるといえるだろう。